2012年 東大国語 第3問(漢文)『春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)』解答(答案例)

はじめに

『春秋左氏伝』は五経(詩経・書経・礼記・易経・春秋)の一つである『春秋』の注釈書です。
よって、儒教的な考えの文章なのだろうなと予想ができます。

難易度「標準」で、王道である君臣論の諫言(かんげん)の話でした。

漢文らしい「比喩」に慣れるためにも良い演習の題材です。

答案例とプチアドバイス

(一)「済其不及、以洩其過」(傍線部a)とはどういうことか。簡潔に説明せよ。【1行】

答案例:料理人はあつものの味を調和させるために、調味料を加減するということ。

プチアドバイス:「味が薄いと調味料を増やし、味が濃すぎると調味料を減らす」だと28字も使ってしまうので、抽象化が必要です。
今回のような比喩の話だと特に、記述には抽象化の力が必要です。

 

(二)「君所謂可而有否焉、臣献其否、以成其可」(傍線部b)は君臣関係を述べたものである。

(ア)これを、わかりやすく現代語訳せよ。「可」「否」も訳すこと。【1.5行】

答案例:君主が良いと言うことで良くない点があれば、臣下はその良くない点を進言して、君主の考えを正す。

プチアドバイス:次の文との対比で考えましょう。
君は「可」―臣は「否」―成其可(君主の可という意見を正す)
君は「否」―臣は「可」―去其否(君主の否という意見を取り除く)

 

(イ)この君臣関係からどのような政治が期待されているか。これについて述べた箇所を文中から抜き出せ。訓点・送り仮名は省いてよい。【0.5行】

答案例:政平而不干、民無争心

プチアドバイス:「、民無争心」もあった方が無難です。
民衆が争うか否かは政治そのものではないが、政治の影響なので。

 

(三)「若水済一レ水。誰能食之」(傍線部c)をわかりやすく現代語訳せよ。【1行】

答案例:水に水で調味するようなものだ。誰も料理として食べられはしまい。

プチアドバイス:本来の料理人が「味ヲ以テ」(調味料を使って)に対して、ここでは「水ヲ以テ」(調味料を使って)具の多い吸い物の調味をするということ。
肉魚があっても、塩などがなければ、かなり薄味でまずいでしょうね。

 

(四)「同之不可」 (傍線部d) とあるが、晏子は拠のどのような態度をとらえてこう述べているか。簡潔に説明せよ。【1行】

答案例:景公に誤りがあっても諫言せず、景公の考えに同調する態度。

プチアドバイス:「同」と「和」の両方を具体化して書きましょう。

 

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