2005年 東大国語 第2問(古文)『住吉物語』解答(答案例)

はじめに

和歌の現代語訳が求められているので、
和歌の対策としてぜひ押さえておきましょう!

解答例(答案例)とプチアドバイス

(一)傍線部ア・イ・オを、必要な言葉を補って現代語訳せよ。【各1行】

ア 人のしわざには、よも

答案例:聞こえてきた琴の音は、まさか姫君以外の人が弾いているのではあるまい。

プチアドバイス:「必要な言葉を補って現代語訳せよ」という条件付き現代語訳問題では、まずは「誰〔何〕が」「誰〔何〕を」をまず補足することを考えましょう。

 

イ 心ありし人々に見せまほしきよ

答案例:都で交流があった風流心のある人々に、住吉の情景を見せたいものだなあ。

プチアドバイス:「昔は風流心があって今は風流心がない」というわけではないので、そういう解答にしないように。
「都の」という要素が必要です。

 

オ おぼしたるにこそ

答案例:少将殿は私を恋しく思っていらっしゃったのであるのだなあ。

プチアドバイス:古語「思ふ」は〈➊愛しく思う ➋心配する〉の訳を特に覚えておきたい語です。
ここでは➊ですね!

 

(二)傍線部ウについて、何を何と「聞きなし」たと思ったのか、簡潔に記せ。【1行】

答案例:「秋の夕は~」と風流に歌う声を、姫君に仕える侍従の声だと「聞きなし」た。

プチアドバイス:「何を何と」の具体化が求められている設問なのに、「聞きなし」の部分を無理に訳そうとして減点になる訳になっている解答を多数見かけます。
設問に答える意識を持ちましょう。

 

(三)傍線部エの歌「尋ぬべき人もなぎさの住の江にたれまつ風の絶えず吹くらん」を、掛詞に注意して現代語訳せよ。【2行】

答案例:私を捜し求める人もいない住の江の渚で、松風がずっと吹き続けているように、私は誰を待ちながら琴を弾き続けているのだろう。

プチアドバイス:「私が誰を待つといって松風が絶えず~」という解答を見かけますが、このままでは意味が不明です。
古文では松風(松を通る風音)が琴の音の比喩として使われがちなので、琴の暗示だと示せると完璧です。

「琴」まで書けなくても、「絶えず吹き続ける松風のように、私は誰を待ち続けて」というふうに、なぞらえていることを表す書き方にしても良いでしょう。

 

(四)傍線部カ「うれしさもつらさも、なかばにこそ」とあるが、なぜそのよのように感じたのか、簡潔に説明せよ。【1行】

答案例:姫君の居場所を見つけたのに、姫君の侍従が姫君との再会を妨げるから。

プチアドバイス:男君は、霊夢・琴・そして和歌を詠んだ声から、姫君がいると確信しています。
よって、姫君が死んだというのは嘘だと見破っています!
「姫君に会うことができないから」だと、侍従への恨み言感がゼロなので、せめて「姫君に会わせてもらえないから」としたいです。

 

(五)傍線部キについて、「さのみ」の「さ」の内容がわかるように言葉を補って現代語訳せよ。【1行】

答案例:旅先では、特に馴れ馴れしく無礼になるものです。

プチアドバイス:副助詞「のみ」は強調(特に・とりわけ)で訳すと最も自然です。
限定(ばかり・だけ)での解釈も否定する根拠はないので、減点にはならないでしょう。

 

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