1999年 東大国語 文科第6問(古文)『百首異見』解答(答案例)

はじめに

東大古文では珍しい歌論です。
ただ、評論文はたまに出題されているので、触れておいた方が良いです。
(2012年『俊頼髄脳』、2019年『俳諧世説』など)

漢文のように、大局的に読んで、主題を考えましょう♪

解答例(答案例)とプチアドバイス

(一)「門開くる間をだに、しかのたまふ」(傍線部ア)を、「しか」の内容が明らかになるように現代語訳せよ。【1行】

答案例:門を開けるまでの(短い)間でさえ、(あなたが)「立ち疲れた」とおっしゃる

プチアドバイス:「だに」の訳を間違える方がたまにいます。
文脈に合わせて判断する力は東大古文において重要なので、間違えた方はしっかり副助詞の復習をしましょう!
「おぼしやり給へ」という命令形があるからといって、安直に「最小限の限定」で訳してはいけません。

 

(二)「このごろ……うち出でたるなり」(傍線部イ)とはどういうことか、簡潔に説明せよ。【1行】

答案例:最近、夫の兼家の通いが少ないことへの内心の恨みを、この機会に詠んだということ。

プチアドバイス:「最近、夜によく外出する・帰宅しない」と書いてしまう方もいますが、道綱の母は兼家の正妻ではなく、兼家と一緒に暮らしてもおりません。
ちなみに正妻は時姫(道隆・道長などの母)です。

 

(三)「『ひとり寝る夜のあくる間は』といひ……くらべたるなり」(傍線部ウ)とあるが、この解釈にしたがって、「嘆きつつ……」の歌を現代語訳せよ。【2行】

答案例:(あなたを待って私が毎夜)嘆き一人で寝る夜明けまでが、あなたがつらくお思いになった門を開けるまでの時間と比べてどれほど長いのか、あなたにはわかるまい。(73字)

プチアドバイス:疑問の訳にしてしまう方がいますが、「かは」は反語で訳しましょうね!
《「めや」は必ず反語。「やは」「かは」は反語多い。「や」「か」も反語から訳す>を徹底しましょう!

 

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