2023年東大世界史50点合格者インタビュー

こちらのページをご覧になる前に、実況中継にお目通しください。

敬天塾 講師からの質問① 取捨選択

第1問リード文を読まれた感想として、「あまりに言及すべき事項と時代、地域が莫大であるために情報の取捨選択に気をつける必要があるなあ」と現場判断なさったことを明示されています。

かかる「取捨選択」の過程につきましては、実況中継の中でも述べられているところではあり、その結果として「字数がとんでもなくカツカツだったので」「いよいよ字数も限界」と仰っています。

この字数というのは、どの段階で、どのように数え上げられているのでしょうか。

たとえば、一地域 600÷3=200文字程度と算段を立て、実際に下書きを書いて逐一数えるなか、文字数カツカツと評価されたのか、
従前の論述答案づくりの経験則から直感的に書きすぎOR文字数不足を判断されたのか、
何かしら補注のようなものでフォローがあれば嬉しいなと思いました!

合わせて、文字数カツカツとなった時に、如何なる試金石に基づき、複数の情報を天秤にかけ、取捨選択をなさっているのかも詳しく書かれていると受験生にはありがたいように思いました。

50点合格者の回答①

本文中で字数の不足についての感想を述べた箇所が何ヶ所かあったかと存じますが、文字数が足りないというのは下書きとして一度頭の中で発想したことを全て原稿用紙上に書き起こす中で判断したことです。

明確に何文字この地域の記述に割くということは決めていませんでした。
(どうしても一つの論述の中で重要事項を多く述べなければならない地域、言及することが少ない地域の差は出てくるので。)

明確な基準は定めていませんでしたが、
例えば4つの地域に触れなければならないのに、1つ目の地域の記述の途中の時点で全体の字数の半分を超える、
といった極端な分量の偏りがある場合には不必要な記述が入っている可能性を考えるようにしていたと思います。

基本的にはそれぞれの地域に均等な記述がくるものとして考え、それぞれの書く内容の分量を考慮しながら下書きをして、余った字数を削るようにしていました。
(盛り込む要素を書き出している時に、基本的になんとなく優先順位を自分の中で定め、下書きの最中にも明らかに文字数の配分が適当ではないと判断した場合には、全てを書き切る前に優先順位が低いと判断していた内容を書かないと決めることもありました。ここの加減は経験に基づくものなのかなと思います。)
(優先順位については判断基準が多岐に渡り、一般化することがなかなか難しく、都度本文中でも述べるように心がけてはいましたが、指定語句から直接導けそうなこと問題文の要求に直接答えていることを優先的に書くようにしていました。あとは、大論述全体を見る中で、大きな意味を持たない重要でない記述を入れないことも意識していました。)
(基本的に過去問を解いている中でも書きたい内容が指定の字数の中に収まらないということの方が多かったので、文字数を足すという作業は直前期にはほとんどすることがなかったです。)
文字数が足りなかったので、という趣旨の記述をしている部分はここまでのプロセスを経た上で総合的に判断したものをまとめたものです。

敬天塾 講師からの質問② 何を答えればいいかわからなくなってしまうパターン

「東大世界史の第一問によくある、問題の要求が漠然としているが故に何を答えればいいかわからなくなってしまうというパターンである」について、他年度の過去問のリード文を引用されても構いませんの、もう少し詳しくうかがいたいです!

合わせて、そのような設問要求が漠然不明瞭なパターンの他にもあるのか、
あるとして、各パターンにおける解法に如何なる差異がうまれるのか
それをどのように先生は過去問探究の中でも公式化していったのかもうかがいたいです!

50点合格者の回答②

基本的に私は大論述の解き方に関して公式化を行うことはしていませんでした。
ただ、大論述で何を求められているかわからなくなった場合にはリード文から推測するか、
それか今回述べた通り、先に指定語句から導き出せる記述
それ以外に述べる必要があるとわかっている要素について記述する内容を決めていき、
その中で問題の要求に対応する内容を模索していきました。

かなりアドリブ性の高い解き方かとは思いますが、私が特に東大世界史の中で問題の要求がわからないと感じたのは、東大世界史2013年の第一問です。
問題文中での「開発」の指すものが当時の私には一見して分かりませんでした。

これに対して、私はまずリード文を読み込んで「開発」の意味するところを理解しようとしました
リード文からは開発によって商品が生み出される、労働力を必要とするということが読み取れました。
この時点で私は時期、時代、リード文のヒントからプランテーションについて書けば良いのだと気づきました。
この場合はリード文から得られる情報でおおかたの見通しがつきました。
求められているものそのものが明確に最初にわからないものの、リード文を読み込めば対処可能なパターンではありましたが、
他にも今回の第一問のように、全く何が求められているかわからない、
というわけではないけれども要求が漠然としていてはっきりとした要求が見えてこないというパターンもあります。

東大の過去問をパラパラとめくっていて今回の何を書いていいかわからない、という感覚に近い印象を受けたのが2017年度の第一問です。
内容そのものは地域が絞られていて、指定語句からも書くべき内容が見えてきやすくはあるのですが、「社会変化を論じなさい」と言われると要求が漠然としていて、いきなり何から述べればいいのかわからなくなりそうだと思いました。

結局、「社会変化」という広く、掴みづらい要求から書く内容を定めていくことは難しそうなので、今回の第一問を解くときに私が行ったように、リード文と指定語句から書けそうな内容を挙げていって、その要素が「社会変化」に当てはめることができるかを確かめていくしかないのかなと思います。

この「社会変化」や今回の第一問の「政治のしくみ」などの大きいテーマを問われたときに詰まってしまうのは、
たとえば、私が2017年度第一問を解いたときに春秋時代の封建制の動揺を「社会変化」として認識していなかったために「社会変化」と聞かれたときに封建制の動揺がパッと思い浮かばなかったように、求められた要求と書くべき内容のリンクが経験上ない、ということが要因にあるのかと思います。

特に私がそうなのですが、主に中論述を書くときに与えられた要求や文章をもとに連想される(過去に類似した問題を解いており、その内容を思い出して)内容を書く、という経験に基づいた解き方だけを選択していると、このような自分の経験にないパターンに直面したときに対応できなくなってしまいます

基本的には経験則に基づいた記述でいいと思うのですが(もちろん問題の要求に即すという大前提はありますが)、煮詰まったときには前述した方法を取るのも手ではないかと考えています。
(私も実際問題の要求が直感的にわからない時はこのようにしていました。)

敬天塾 講師からの質問③ 過去問演習における情報整理

1992東大大論述の話が何度かでていました。
先生は、東大過去問にどのように取り組まれて、どのように各大問からエッセンスを抽出し(復習し)、本番で活用できるようどのように情報整理をなさったのかうかがいたいです!
実況中継の中でも「過去問の経験から、ヴェルサイユ体制のもとで新興国家の勃興が続いた、という文脈で使おうと瞬間的に思いついた」と仰っていましたが、何か論証ブロックや視点メモのようなものを先生なりにまとめておられたのかも気になるところでした。

50点合格者の回答③

私は東大の過去問については、大論述に関しては論述の仕方のパターンをストックする、公式化するという意識では用いていませんでした。
過去問の使い方としては、第三問に関しては知識が不足している部分の把握(例えば、この時代の文化史の暗記が不十分だ、など)を行い、まちがえた語句だけでなく、その周辺知識も再確認するようにしていました。

第二問については、基本的な論述も多く、繰り返し出題される問題も多いので(第二問としても、第一問の要素としても)
そのような論述については解答、解説を理解し、自分のものにできるように努めました。

具体的には解答をそのまま覚えてしまうくらいの勢いでしっかりと要点を把握するようにし、自分は同じ問題が出てきたときに同じように記述できるか?ということを常に意識していました。
(特別に暗記カードを作る、などの暗記に特化した勉強はしていませんでしたが、第二問は繰り返し似たテーマが出題されるのでそれらを解いて、繰り返していくうちに中論述を解く中で必要な要点は覚えていました。)

全体的に暗記に関しては、赤シートや単語帳を使うことなくひたすら過去問を解いて、問題を解く中で間違えた部分、わからなかった部分に関しては教科書、資料集、単語帳を駆使して完全な理解を目指すとともにノートにまとめて、見直すようにしていました。
精度の高い理解、演習、復習を行えば暗記しようとしなくても重要なことは身についていると思います。
第二問、第三問は繰り返して解きました。

第一問に関しては、自分で書いた答案と模範解答が完全に合致しているということはありえないので、模範解答を覚えようとするというアプローチは決して行なっていませんでした
ただ、模範解答の分析は怠らないようにしていました。

具体的には、
模範解答ではどのように答案の構成を行なっているか
一つ一つの答案の要素は問題の要求に合致しているのか
要求に即したものでなかったらどうして記述されているのだろうか
という視点を持って分析を行なっていました。

必ずしも模範解答が最適解であるとは限らないので、
この要素は入れ込むべきだ、この記述は自分の実力では本番で書くのは現実的ではない、この知識は問題の要求に答えるには細かすぎる、などの批判的な視点持って
自分が本番試験場で現実的に書くことができそうな模範解答を作ることを意識していたと思います。
(丸々全く新しく記述を作るのは手間と時間がかかるので、メモとして模範解答に書き込んで要素を消したり、書き加えたりしていました。)

解答解説を読み込む中で、自分に欠けている視点や知識があれば他の大問の勉強法と同じようにノートに書き溜めるようにしていました。
復習としては、もう一度同じ大論述を解くのは時間がかかるので、もう一度何も見ずに論述の構成を決めて、論述メモを作ることをしていました。
ヴェルサイユ体制については指定語句を見た時から今回の論述以外の使い方が思いつかなかったのですが、念の為本番で作った論述メモを添えさせていただきます。
あまり参考にならなかったらごめんなさい。

2023-1東大世界史50点合格者のメモ

敬天塾 講師からの質問④ 指定語句の分析考察

指定語句の分析考察をかなりしっかりなさっているなと思いました。
この点、2022年のトルキスタン大論述において、東大教授が指定語句の活用法を公開しましたが、先生がこちらをご覧になられて、どのように思われたかうかがいたいです。
それと共に、東大過去問における大論述の指定語句を分析検討して答案に活かす方法論を何か確立なさっているのか、複数の類型があるとして、問題文のどこに着目して使い分けておられるのかうかがいたいです!
また、仮に自信のない指定語句があった場合、書かない・ごまかして書く・文末にその語句だけ付け足しで書くなど、どのように対処されていたのか(本番で遭遇した場合、どうされるおつもりだったのか)うかがいたいです!

(東大入試問題作成部会から受験生へ)東大HPより

第1問は、第二段落の「以上のことを踏まえて」の「以上のこと」が何を指すか考えましょう。トルキスタンの歴史的展開を、(1)「トルキスタンの支配をめぐり、その周辺の地域に興った勢力がたびたび進出してきた」ことと、(2)「トルキスタンに勃興した勢力が、周辺の地域に影響を及ぼすこともあった」ことを踏まえて記すわけです。次に、年代として「8世紀から19 世紀」までの時期が指定されています。例えば、この(1)(2)を横に、8 世紀から19 世紀という時間を縦にして表を作り、トルキスタンの周辺地域のそれぞれの空間を意識しながら、表に指定された語句を落としてみてください。そうすると、それらに関連する事象など新たなキーワードが浮かんでくるのではないでしょうか。方法は様々ですが、問題文に示された出題意図、また問いの内容、そして指定された語句を手がかりにして、時間的、空間の広がりを踏まえて、歴史の展開を考える問題になっています。

50点合格者の回答④

2022年度の東大教授による出題の意図を拝見しました。
まず、私が取っていた手法は教授が公開されたものと全く一緒です。

まず全体の年表を作り、その中に指定語句を配置していく。
そして、それらの語句から連想されたキーワードを書き加え、今まで記述してきたようにその内容の取捨選択を行なっていく。
まさにこの通りに大論述を解いていました。

今回初めて出題の傾向を読んだのですが、今まで問題を解くときに取ってきた自分の手法が正しかったのかとわかり、安心しているほどです。
出題方法をパターン分けすると柔軟に対応できなくなってしまうので普段あまりパターンに分けてそれぞれに決まった解き方を決めることはあえてしていませんでした。
東大の問題にはそのように分類分けしようとしても例外が生じることも多いだろうと考えあまり有効な方法ではないと判断したこともあります。

人によっては指定語句を見ずに論述を組み立てるという人もいましたが、私は指定語句は出題者からの最大のヒントであるように感じたので、必ず最初に目を通しておりました。
最初にリード文、問題文を読む中で書くべき内容がなんとなく頭の中に浮かんでくるので、
指定語句にその単語や内容が含まれていたら自分の論述の方針は間違っていないのだ、という指標になりますし、
自分が想定していなかった語句が出てきた場合には自分が自力では思いつかなかった論述の視点に気づくことができます。

年表の中に指定語句を配置し、連想される語句を書き入れていって論述のメモを作り、取捨選択を行う。
結局基礎に忠実でありながら汎用性の高い、有効な手法だと思っております。

また、自信のない指定語句があった場合は、誤魔化してギリギリ嘘をつかないけれども情報を足さない、というラインを攻めていました。
時間が許す限り指定語句は使い切ろうとしていました。
今回であれば帝国議会の使い方がわからなかったのですが、ドイツ帝国で帝国議会が開催された、という当たり前の、特に新たな情報を足さない文で誤魔化してなんとか盛り込みました
(ここで情報を足すとは、帝国議会が開かれたという事実に加えて、例えば帝国議会が男子普通選挙により選ばれたことなどを導き出して記述することです。帝国議会が開かれた。では、指定語句を文章化しただけで新しい情報を加えたことにはならないと考えます。私がたびたび申し上げている、指定語句から記述を導く、というのはこのようなことです。)

敬天塾 講師からの質問⑤ 地図の活用法

地図の活用法について。
1992年大論述と比べ、2023大論述の地図情報が多いことから「確認程度」にしか用いられなかったと仰っていましたが、その一方で、イギリスに「成文憲法を制定した主な国」の印が入っていないことに着眼されるなど深く読み込まれた跡も垣間見れました。
多くの受験生は、リード文・指定語句・地図の三者を比較しながら活用方法を試験会場で模索していくわけですが、先生はどの順序で、どのような点に着目し、地図情報を活かす活かさないをご判断されたのでしょうか。
地図が出される時と出されない時とで、論理を紡ぐプロセスに差異は生まれるのかも含め、地図が出された時の心構えのようなものもうかがえると幸いです!

50点合格者の回答⑤

今回の試験では地図が出題されましたが、地図を用いた出題は出題例があるとはいえメジャーな出題方法ではありません
そのため、私もあまり慣れておらず、地図を活かしきれていなかった可能性もありますが、当日私が地図を利用した方法を説明させていただきます。
まず、本番ではいつも通りリード文、指定語句に目を通して、実況中継の中で説明したような分析、思考を行いました。
(あまり問題の全貌がわかっていない状態で地図を見ても必要な情報を引き出すことができないと考えたため。)

その上で論述用のメモに取り掛かる前に地図に目を通しました。
地図を見るときにまず私が着目したのはそれぞれの地図がいつの地図であるか、でした。

その時代の地図を提示するというは東大側の何かしらの意図があってのことだと考えて、
なぜあえてこの時期の地図が与えられているのか
この時代には何があったのかについては考えていました。

それに加え、今回は二つの時代の地図がそれぞれ与えられていたのでこれら二つを比べる中で変化がある部分に着目しました。
もちろん全ての変化に言及するのは難しく、現実的ではありませんがこの見比べる作業によって気がつく視点も多いと思います。
例えば、今回であればまずラテンアメリカの変化が著しいことには多くの受験生が気付いたと思いますが、他にも中国やフランスが共和国になっていること、ヨーロッパの諸国家、日本でも憲法が制定されたことなどが読み取れます。
実際これらは私が論述の中で用いた視点でもあります。
最初にリード文と指定語句の分析を行なっていたので、新たに得た視点というのはほとんどありませんでしたが、書く内容が合っているのだということが再確認できました。

地図を見ることによって新たに得た視点といえば、イギリスについてだと思います。
今まで読んだ各予備校の模範解答に言及しているものは今のところなかったのですが、
2つの地図を見比べたときに、ヨーロッパ列強はこの期間に憲法を制定しているにもかかわらず、この時代に世界の中心であったはずのイギリスに関して、変化がなく地図Ⅱの時代においても憲法を持っていないのだということに気がつきました。

他には日本についての記述の視点を地図の分析によって得ました。
各予備校の模範解答では私のように指定語句の大日本帝国憲法を日本の文脈で使うのではなく、中国の光緒新政の文脈で使っているものがメジャーだったように思います。
私も最初は大日本帝国憲法の使い方に迷っていたのですが、日本がこの期間に立憲国家になっているという視点を改めて地図の分析によって得て、他の国と同様に、日本が立憲君主制の国家になったということを個別に書くことに決めました。

敬天塾 講師からの質問⑥ 指定語句を抽象化

山川の詳説世界史を例に挙げるなか、「ここで私がよく使う手法が、指定語句を抽象化して広い範囲について述べるというものである」と実に興味深い記述をなさっています。
この手法について、他にも幾つか類例があれば是非うかがいたいのと、
抽象化するに際して意識しているコツや注意点のようなものも言語化されていると救われる受験生が多いように思えました。

指定語句がらみでは、さらに「指定語句にどのような意味、価値を持たせるか、というのは今回に限らず大論述を解くときに常に意識しているかもしれない」の部分をもう少し具体化していただけるとありがたいです。
思考プロセスや注意点など詳しければ詳しいほど助かります!

50点合格者の回答⑥

今回であれば、シモン=ボリバルが指定語句になっていましたが、この論述に関しては決してシモン=ボリバルが独立を促した、ということが重要なわけではなく、(別にサン=マルティンでも構わないわけで)クリオーリョを中心にラテンアメリカの独立が進んだ、ということを導き出したいと考えます。
そこで、シモン=ボリバルについての詳細な記述をするのではなく、「シモン=ボリバルなどのクリオーリョを中心に」というふうにあくまで例示として指定語句を使うパターンのことを指しています。
比較的頻繁に用いていた手法なので特に具体例は思い浮かびませんが、多く、指定語句そのものについて何を記述していいかわからなくなった時に試みると有用なことがあります。

この抽象化に関して注意すべき点は、意味のない抽象化をしないようにするということくらいでしょうか。
抽象化することでその語句そのものの説明は具体的にしないことになるので、キーワードであるにも関わらず指定語句の抽象化をしてしまうとその部分の記述が不十分になり、ポイントを逃すことになりかねません。
以上が強いてあげるならば注意すべきことでしょうか。
この方法に関してはあまり注意して色々と考えて行っているものではないので、あまり参考にならないかもしれません。

敬天塾 講師からの質問⑦ 複数の地域

大論述の構成を決めるに際して、先生は「多くの場合、共通の1つの時間軸、内容、国および地域のいずれかに基づいて構成を決めている」と仰ったのち、2023大論述については複数の地域を扱っているため〜と思考プロセスを明示されていました。
これは凄くわかりやすい内容でしたので、その他の年度の大論述を例に挙げながら、これこれがあったら、このような答案構成、これこれの時にこう書くのは避けたほうがいい、など着眼点や先生独自の思考テンプレのようなものをお示しいただけたら嬉しいです!

50点合格者の回答⑦

特に自分の中で大論述の考え方をテンプレ化するようなことはしていなかったので具体的にはお答えしかねますが、本文中でも述べた通り、複数の地域にまたがり、またそれぞれの地域同士のつながりがあまりない場合には一つの地域の中での因果関係を断つことになってしまうので、年表順ではなく多少前後しても地域ごとに記述していました。

一方で、例えば貿易などの各地域の交流が大きいテーマは大きな枠で時間軸で共通の事柄を述べるなど大きな流れを記述し、その中では地域ごとに記述を行うなどの工夫を行っていました。
(大論述の手法に関しては、正解が存在せず一般化が難しいのですが、個別の問題についてはもっと正確に言語化できると思います。)

具体的に2007年度の第一問を見てみましょう。

対象範囲を全世界とし、11世紀から19世紀に起こった農業生産の変化について述べさせる問題でした。
対象地域は中国、ヨーロッパが中心となります。
ここで、時系列順に並べようとすると、宋の占城稲とヨーロッパの三圃制を同時期に並行させて述べなければなりません。
しかし、この二つには関連がなく、この時、中国の中での宋代には長江下流域が穀倉地帯だったのが、明代には長江中流域が穀倉地帯となった、という流れを断つ可能性があります。

このように時代をまたぐが一つの地域に関して連続性のある記述をしたい、関係性を切りたくない時には全体の時系列ではなく、一つの地域の縦の歴史を優先するのがいいと思います。

このような手法を取ると、関係性によって結束したいくつかの論述ブロックができると思うので、それらを時系列順にできるときは、大きな流れで時系列順になるように並び替えていました。
これらは全て年表を書き、論述メモを作って書く内容を決める過程で考えていることが多かったように思います。

敬天塾 講師からの質問⑧ 10点分の失点原因

新しく再現答案を書いていただきましたが、以前ご提出くださったもの(再現答案)は最後の方が文章途中で終わっていました。
ですが、実際には文自体は句読点で終えられたという理解でよいのでしょうか。
また、今回、改めて再現答案をお書きいただいたなか、10点分の失点はどこにあるとお感じになられているのかうかがいたいです!
(たとえば、ラテンアメリカにおける独立運動は19世紀半ばではなく初頭あたりという事実誤認に起因するもの、漢字のミスがあった、指定語句を全部使えていなかったetc)

50点合格者の回答⑧

大論述の記述は本番では文が終わらなかったと記憶しています。
ただ、自分の論述メモと記憶に沿ってもう一度答案を作ってみたところたまたま文字数が収まったので、新しい要素は足さずともとりあえず文章を完結させたまでです。
基本的に私の中では東大世界史の大論述は大きな流れが間違っていなければ要素の加点方式であるという前提でいたので、10点分の失点に関してはもちろん史実誤認などによる減点も考えられますが、必要なポイントに言及していないものによると考えています。

10点分の失点に関しては、第二問からの失点もあるとは思いますが、大論述で思い浮かぶ失点で一番心当たりがあるのが中国の記述です。
辛亥革命によって清が滅亡したという記述を、辛亥革命という言葉はなんとか入れ込んだものの文章を完結させることができず、加えて中国に関して最も記述したかった東アジア初の共和国国家である中華民国の誕生に言及できなかったことがポイントを逃していたのかと思います。

また、ドイツの帝国議会についての知識がなかったため指定語句である帝国議会に論述の中に軽く言及したのみで、それに関連する記述を引き出せなかったのでそこでも必要なポイントを逃していたのだと思います。

また、第一次世界大戦後の男女普通選挙達成の文脈でイギリスのみに言及し、アメリカでの達成に言及していないことも加点を逃したポイントだと思っています。

漢字ミス、指定語句の使用漏れは今回に関してはなかったと思います。

敬天塾 講師からの質問⑨ 日本史も合わせた解答順序

試験当日、世界史に75〜80分と制限時間のちょうど半分くらいを投じられたわけですが、日本史も合わせた解答順序もうかがえると幸いです!
世界史を先にやった、大論述だけは日本史やった後に最後に取り組んだetc。
そして、もし、大論述が40〜45分で終わらなかったり、日本史で予想外に苦戦したりした場合は、どうされるつもりだったのか、入試前にこうなったらこうしようというようなシミュレーションを組んでいらっしゃったのかうかがえるとありがたいです!

50点合格者の回答⑨

普段から、東大の社会は世界史第三問→世界史第二問→日本史全て→世界史第一問の順番で解くようにしていました。
これは、世界史第一問にはかけようと思えばいくらでも時間をかけることができると考えていたためです。
つまり、強制的に大論述については妥協せざるを得なくなるような仕組みを作っていました。
それは、大論述は時間をかければ必ず得点に結びつくというものでもないからです。

世界史についてはしっかりと得点を取る、言うなれば守りの姿勢で望むのは第三問、第二問
可能な限り得点を最大化させるための攻めの姿勢で臨むのが第一問であると決めていたため、
比較的時間に余裕があり焦らずに冷静に判断できる最初に世界史第三問、第二問を解くようにしていました。

日本史もどちらかといえばしっかりと確実に得点するというよりも、特別得意であるという意識がなく挑戦という側面が大きかったので、世界史第二問、第三問のあとに解くことにしていました。

世界史第二問、第三問に関しては元から決めていた30分という制限時間からなるべくブレないように意識していました。
時間をここで短縮させようとあえて意識しないようにしていたのは、確実に得点できる部分であるので急いで答案を完成させることによる失点を防ぎたかったからです。

その後の時間配分に響くので、時間超過は極力避けたいと思い、特に時間を気にしながら解いていたと思います。
その後の日本史は問題次第で時間がよくブレたので、世界史の大論述で時間の調節を行なっていたように思います。
日本史の目標が60-70分、大論述が約50分だったのですが、本番では日本史の答案がなかなか納得したものを完成させられず、日本史に75分ほどかけてしまった記憶があります。
日本史で時間を超過した時には、下書きの精度を落とすことで時間を稼いでいました
(書きたいことを全て下書きの文章として書き出すことを諦めて、論述の要素、大枠を決めてある程度の下書きをしたら、清書をしながら論述を完成させていく、ということが多かったです。経験に左右されるかなりアドリブ性が高い手法だとは思います。)

ただ、アドリブ性が高い手法を取るにしても下書きを書かない、ということはせず、時間ギリギリまで下書きを書いて、残り20分ほどになったら強制的に清書に移る、というようにしていたと思います。

敬天塾 講師からの質問⑩ 他者の解答をどう評価するか

他の生徒答案や予備校解答を見て、どのように評価されたかうかがえると幸いです!

50点合格者の回答⑩

他の生徒さんの答案を読むことができていないので、各予備校の解答速報を読んだ所感にはなりますが、
総合的にいえば、どの予備校もとにかく多く要素を盛り込もうとしているように感じ、あまり現実的な答案でないように思えました。

多くのことに言及しようとするあまり、「○○年に〜が起こった。」ということにのみ言及し、その事実から何が言えるか、因果関係としてどのような記述を引き出せるか、という観点に欠けている答案が多いように思いました。
ただ、私は大論述の中で政治の仕組みについての言及があまり多くなく、選挙権についての言及が中心であった一方で各予備校の答案はその二つの要素をバランスよく盛り込んでいるものが多かった印象があり、現実的かどうかはさておき必ずしも劣ったものではないと考えています。

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世界史の大論述を書くために知っておくべき補足資料です。
(東大世界史における文化史の切り口) https://exam-strategy.jp/archives/10874
(大論述指定語句にみる東大世界史) https://exam-strategy.jp/archives/10872   

 


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