2014年東大文系数学(第4問)・理系(第5問)入試問題の解答(答案例)・解説(整数・漸化式・鳩ノ巣原理)

 

2014年の整数問題

お待たせしました。
それでは、2014年の整数問題(文系第4問、理系第5問)をやっていきましょう。
 
まずは問題から。
 
 
理系第5問は、この(4)が追加されます。
 

ということで、これも共通問題。
それにしても、2014年って共通問題が多かったんですねぇ。
 
・文系第2問と理系第2問(確率)
・文系第3問と理系第6問(通過領域)
・文系第4問と理系第5問(整数)
 
と、文系は4問中3問が共通。
もちろん、どの受験生も、数学の試験中には知るすべはないのですが。
 

解かずに分析

では恒例の「解かずに分析」コーナーです。
もう、何度言ったかわかりませんが、試験問題というのは、解けるからといって、すぐに解き始めるのが良いとは限りません。
というか、解けるからすぐに飛びつくと痛い目に遭うことの方が多い。
数学の問題で言うと、解くことに集中し過ぎると「誘導」に気付かなくなる危険性が高まるので、最初に解かずに問題を眺めることをオススメしています。
少し大げさに言えば「最初5分はペンを持つのは禁止」くらいで丁度よいでしょう。
 
そうして眺めて、目に飛び込んで来るキーワードを見てみると
・漸化式
・余り
・割り切れない
あたりが、解法を大きく決定しそうです。
 
 
漸化式に関しては、そのまま漸化式を解く場合ももちろんですが、証明問題では数学的帰納法とも非常に相性が良いです。
例えば、こちらの記事と比較してみて下さい。

2017年東大文系数学第4問 理系数学第4問の解説(漸化式・ユークリッドの互除法・対称式) 2015年東大理系数学第4問の解説(漸化式、連立方程式、フィボナッチ数列)

 
また、整数×漸化式(数列)のコラボも、東大は大好き♪
この問題も、その典型です。
「余り」や「割り切れる(割り切れない)」のキーワードからは、
・余りで場合分け
・ユークリッドの互除法
・合同式
などを思いつければOK。頭の中に入れながら、問題を解いていきましょう。
 
 
 
※でも、2014年はまだ数学Aに整数の単元がなかった頃ですね。
そのため、合同式を使わない解答解説が世間に出回っていますので、復習するときはご注意を。
 

合同式を簡単におさらい

この中でも非常に便利で協力なツールが「合同式」
しかし、教科書の発展内容に当てられており、使いこなせない受験生も多いはず。
ということで、簡単に復習しましょう。
 
簡単に言えば、合同式の両辺で同じ数を
・足してOK
・引いてOK
・かけてOK
・累乗してOK
です。
(荒っぽいことを言うと、割り算さえしなければ、割と自由に何でもできます。)
 
 

(1)合同式で瞬殺

では、(1)からやっていこうと思いますが、まあ簡単。
合同式を知っていれば当たり前に過ぎないんですが、合同式が使えないと少し面倒臭さが足されます。
教学社の25か年、東進、河合塾の解答を見ましたが、やはり過去に書かれたものがそのまま載っているようで、合同式を利用した解法はありませんでした。
今年の受験生が解いたら、もっと簡単に解けると思いますが、比較するために、手書きの解答では両方載せておきましたので、比較してみて下さい。
 
↓これの左半分です。
 
まずは、合同式を使わないバージョンですが、商を定義して、anとan+1とan+2の3つを立式します。
そして、漸化式に代入してbn+2以外を全て右辺に持っていくと終わり。
pでくくる所が面倒ですが、難しくはありません。
注意点としては、左辺のbn+2は絶対にp未満ですが、bn+1(bn +1)がpより大きくなる可能性がある点でしょう。
 
そして、下半分の合同式を使えるバージョンですが、途中の面倒な計算が全て削除できます。
そういう意味で便利なツールです。
 

(2)頑張れ!!

次に(2)ですが、これは点取り問題!別名「点を取らないと死亡する問題」です。
だって、漸化式の読み方が分かれば、小学生でも解けます。計算すれば当たりますし、たかが10個で終わりますから頑張りましょう。
 
ちなみに、こういう問題は規則性が発見されることがほとんどです。
今回も、たった3パターンしか登場しません。
「なかなか規則が見つからないなぁ・・・」という場合、計算ミスの可能性が高いので、疑って下さい。
 

(3)記述が難しい!

そして(3)ですが、これが厄介。
意味は分かるし、そうなりそうだけど、証明を書くのは難しい、という問題。
 
問題文の意味は「2連続で同じ項があったら、その前の項も等しい」という意味です。
 
 
気付きましたでしょうか?
これ、数学的帰納法を逆向きに使っている感じですね。
数学的帰納法は、n=1、n=2…とnの数字を増やしていきますが、この問題ではnを減らしていく。
あまりやった事がないかもしれませんが、たまに見かけます。
 
数学的帰納法と違うのは、n=1やn=2で成立する事を試さなくて良い所でしょう。
だから、いきなり一般的なところから攻めます。
最終的にbn=bmを示すのですが、ストレートに証明しようとすると難しく、一般的な解法ではbn-bm≡0を示すことが多いですね。
 
しかし、恐らくbn-bm≡0 なんて攻め方、見た事がないのではないでしょうか?
あまり積極的に教える形ではないと思いますので、ご紹介しましょう。
 
bnとbmをpで割った余りが等しい時には、
①bn≡bm
②bn-bm≡0
の2種類の示し方があります。
 
また、今回は割る数が素数に限定されているので、もう一つこの定理も使えます。
 
<定理>
A×B≡0(mod p)
で、pが素数の時、
A≡0 または B≡0 (mod p)
 
よくよく考えれば当たり前なんですけどね。
でも知ってると安心感が違うと思います。
 
これを上手く組み合わせたのが(3)の解答です。
では、さっき上にも貼った手書きの解答をもう一度どうぞ。(右半分をご覧下さい)
 
 

(4)帰納法の逆を繰り返す。

では、理系のみの問題。最後の(4)です。
最後は、a2以降が全てpで割り切れない時に、a1もpで割り切れない事を示せというものです。
 
当然、(3)を誘導として使う問題です。
(というか、数学の入試問題は「全て誘導だ!」と思い込んで解くくらいで丁度よいです。)
 
(3)で、「2連続で同じ場所があれば、その前も同じ」が示せてますから、これを繰り返し利用すれば、「その前も、そのまた前も、そのまた更に前も…」と繰り返せて、最終的にはa1に辿り着くことが出来ます。
 
しかし、難しいのは「2連続同じ場所が必ずある」のを示すことです。
ここで持ち出すのが、あの有名な鳩ノ巣原理。
「鳩ノ巣が3つで、鳩さんが4羽いたら、必ず鳩さんが2羽以上いる巣が少なくとも1つ存在する」というアレです。
今回は、2連続で同じになる組み合わせが、pの2乗個くらいに対して、数列bnは無限に存在する。
ということは、2連続で同じになる場所が必ずあるはずだ!
と理論展開します。
とはいうモノの、入試の会場でここまで書ける受験生はかなり少ないのではないかと思いますが。。。
事実上、かなり厳しい解答でしょう。
 
鳩の図原理って、有名な割に、使う問題が非常に限られてますしね。
ということで、(4)の手書きの解答です。
 

総評

面白いですが、変わった問題ですね。
今は整数の単元がありますから、教科書に載っている定理や性質が定まっており、斜めからボールが飛んでくるような異色の問題は出題されにくいような気がしますが。
 
(4)を解くのは厳しいにしても、(2)までは満点。
(3)で差がつく問題だったと思います。
 
余りの一致は、今年も出題されておかしくないテーマですので、しっかり復習をお願いします。
 
それでは、入試まであと5日ですが、なるべく毎日更新します。

 

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