1999年 東大数学 文系第4問 理系第3問

1999年確率の問題の解説

  昨日まで、対称性、偶奇、漸化式の3つのポイントにバッチリ当てはまる問題をやってきましたが、 今日からは新しいポイントに入ります。
 1999年の問題です。   文系は

   

理系は

     

違いは、理系が確率pで計算させるのに対し、文系はp=1/2と指定されている点のみです。他は全く同じ。 では、この問題の最大のポイントは何でしょう??

情報の整理がポイント

昨日まで3日連続で、全く同じポイントで解ける問題を扱ってました。 対称性、偶奇、漸化式の3つだったのですが、これらは手段です。

 では目的は何かというと、「情報の整理」です。
東大の確率は一貫して、知らない設定やゲームが登場します。
一見複雑な設定や計算が登場しそうなところ、よくよく考えているとシンプルな条件に落ち着くのです。

その時にヒントになるのが、対称性や偶奇、遷移図を用いた漸化式なのです。

そして、今回の問題は、少しだけパターンが違う問題。 どうやって情報を整理するかというと・・・・  

やっぱり対称性

そうです。やはり対称性なのです。
対称性には3つあると言いました。

①図形の対称性 ②式の対称性 ③確率の対称性 ですが、この3つがリンクすることが多いです。

今回は、①図形の対称性と、③確率の対称性がリンクします。

(1)では、AからBに電流が通る確率を考えるのですが、CとDは辺ABに対して対称な点です。つまり、Cを経由して電流が通る確率と、Dを経由して電流が通る確率が等しいのです。

さらに、「情報の整理」という点で、図を分かりやすく書き直すとこうなります。 立体だとわかりづらいので、平面に直したものです。

1999年 文系第4問 数える

辺が6つあるので、それぞれに番号を振りました。 ここまで整理して、次のポイントです。  

樹形図が最強!

そして、最強の武器「樹形図」が登場します。
公式やテクニックを使って解くことが多い場合の数・確率の問題ですが、実際のところ、情報の整理においては樹形図が有効です。
樹形図をもっとシンプルに書いて、簡単な図に落ち着くこともありますが、樹形図が通用しない問題はほとんどありません。

この問題に関しては、「1が通らなくて、2を通って・・・」など、たくさんの経路において、電流が通るか通らないかを考えなければなりません。 赤本(25か年)の解説などでは、場合分けをしているものも散見されますが、恐らく樹形図を書くのが誰にとっても良い方法だと思います。 

場合分けというのは、排反に分けるのが基本です。
(重なる場合がないように分けること) その点、樹形図は必ず排反な事象に分かれますので安心です。

実際は、6本の道について「通る or 通らない」の2択を考えるので、2の6乗で64本の樹形図の枝が出てくるのですが、 電流が通ると確定した段階、もしくは通らないと確定した段階でそれ以後の枝を書かなくて良くなります。
これを考慮してシンプルに描くと、こうなります。

樹形図

〇は通る、×は通らない、としました。 赤い数字がふってある枝が、電流が通る枝です。

結局は電流が通る場合は、6通りしかありません、これに対して確率を計算すれば解けるという寸法です。  

(2)も対称性ですぐ終わり

(2)は瞬殺です。 結論から言ってしまうと、(1)で求めた確率を2乗するだけです。

これは、あまり難しい問題ではないのですが、ポイントを挙げるとすればやはり「対称性」です。 正四面体が二つ重なっているのですが、合同な図形の端から端に電流が通る確率ですから、上半分と下半分で対称な図形になります。
つまり、等確率で電流が通りますから、2乗するということです。

なぜ設置した問題なのか、よくわかりませんが、とにかく設問になってますから、忘れずに解きましょう。   それでは手書きの解答をどうぞ  

1999年東大数学 文系第4問 理系第3問_000016

まとめ

今日の最大のポイントは樹形図。 これが、いかに東大の確率で通用するか、明日以降の記事をお楽しみに。  


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