2019夏 河合東大オープン 文系数学第3問の解説(図形の問題の3つの解法)

2019年夏 河合東大オープン 文系数学第3問の解説

だいぶ更新が遅れてしまっていますが、文系第3問です。
この問題は、ぜひ東大文系受験者によく研究してほしい問題ですね。
理由としては、
①同じような問題が、ここ最近出題されている。
②別解やアプローチが複数あり、比較検討することにより、解法がパターン化できる。
といったところ。
ではまず問題です。
図形が与えられて、面積やら長さやら角度やらを求めさせる問題。
単純そうで、苦手な子が多いのです。
では、どのように考えたらよいでしょう。

図形の問題のアプローチは?

このブログでも何度か書いていますが、このような図形の問題のアプローチの方法は、意外と体系化されていません。
私は主に、以下の3つくらいが使いこなせると良いだろうと思っています。
図形問題の解法パターン
①図形の性質を利用して解く
②座標を設定して解く
③ベクトルで解く
ということで、今回は(作るの大変だったのですが)3パターンの解法を全て載せます。(それでアップが遅れたんですが)

①図形の性質を利用して解く

まずは、図形の正室を利用してとくもの。余弦定理、正弦定理や、数Aの平面図形の分野で登場する公式や定理を利用して解くパターンです。
河合塾の模範解答でも、この方法が紹介されています。
まず、紙の折り返しの問題ですが、これは「線対称」の問題であり、「垂直二等分線」の問題でもあります。
Point
紙の折り返し = 線対称 = 垂直二等分線
つまり、△ABDと△ABD’が合同になっているのです。
これを利用して、線分の長さを書きこんでくと、結局、余弦定理一発で長さがわかる問題になってしまいます。
ちなみに、直線ACを軸に対称移動させた図を描くとき、少し図が書きづらいですね。D’の位置がどのあたりになるかわからなくなり、困るかもしれませんが、こういうときは、とりあえず適当に書いておけばOK。
困ったらきれいに図を描きなおせば、大抵のことは済まされます。
ということで、こんな解答になるわけですね。
(下の図の左側です)
このように、①図形の性質を利用して解ければ、一番簡単♪
基本的には、なるべく図形の性質を利用して解ければ、それが手数の少ない解答になることが多いような気がします。

②座標を設定して解く

では次に、座標を設定して解くパターン。
使い慣れてない人からすると「天才的な発想」に見えてしまうかもしれませんが、天才でもなんでもなく、
図形問題の解法パターン
①図形の性質を利用して解く
②座標を設定して解く
③ベクトルで解く
を知ってて、一つずつ検討しているだけです。
さて、座標を設定する問題の場合には、いくつか書かなければならないことがあります。

座標は、直角関係の図形が登場したら導入を検討せよ

まず、普通は直角が絡む図形(直角三角形、長方形、正方形など)に使う場合が多いです。
リンク先を見てもらうと分かりますが、この問題は正方形が登場しています。また、文系は初めから座標が与えられていますが、理系は図形だけで座標は導入されていません。この辺りも、学びになるポイントです。
では、話を戻して、この河合の問題ですが、直角が絡む図形ではありません。平行四辺形です。
では、なぜ座標を導入しようと思うかというと、角度が45°で、長さが√2になっており、(1,1)と座標を導入するとキレイにハマるからです。
つまり、座標を導入させたいのかという意図がありそうなので、直角じゃなくても座標の導入を検討できます。
※無理やりであれば、どんな図形でも座標を導入して構いません。

座標上の垂直二等分線の処理

さて、このブログでは再三に渡り書いているのですが、垂直二等分線の処理は非常に重要です。意外にも頻繁に出ますので、パターンをおさえられていない場合、必ず身につけてください。
なぜなら、上にも書きましたが、
Point
紙の折り返し = 線対称 = 垂直二等分線
があるため、線対称とセットで登場するのです。
垂直二等分線の処理の仕方は、基本がこちら。数Ⅱの「図形と方程式」に登場する問題の解法を覚えておきましょう。
簡潔に言えば、
①垂直条件、②中点の条件 という、文字通り「垂直二等分線」の名の通りの立式をします。
これを利用して、地道に計算を進めていくと、このような解法になります。

 

但し、①図形として解くパターンに比べて、かなり計算量が増えます。文系受験者にはちょっと厳しいかもしれませんね。時間もかかりますし。

③ベクトルで解く

では、最後の1つ、ベクトルで解く場合です。

垂直二等分線の条件をベクトルで解くことは、かなり珍しいと思いますが解けます。

但し、やはり①図形で解くよりもやや面倒くさいですね。

 

ベクトルの解法の場合、交点の位置ベクトルを求めるのが、やや面倒くさかったり、大きさや面積といった、内積がからむ計算が面倒になりがちなので、必ず解きやすいものではないのですが、武器として持っていると安心感があります。

図形の問題とベクトルは、基本的には相性が良いので、これも使いこなせるようになりましょう。

 

まとめ

このように、図形の解法には3つありまして、どれも使えるようになると、東大文系レベルは盤石。

むしろ、今まで、「解説を読んでわかった」とか、採点をして終わり、みたいな勉強法をしてきた人は、実力が積み重なりにくいのです。

 

こうやって、別解の検討や体系化をしていくことで、効率よく実力に還元していきます。

ぜひやってみてくださいね。


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