2016年東大理系数学(第4問)入試問題の解答(答案例)・解説(三角形をなす条件、鋭角三角形の条件、複素数平面)
2016年 東大数学 理系第4問の解説
文系第1問と比較
非常にシンプルな問題ですね。問題文が短くて、主張もシンプル。
ちょっと京大ぽい感じもします。
問題を読んで、パッと理解出来ない部分は恐らく1点でしょう。
すなわち「鋭角三角形をなす」という部分。
問題文が短いですから、この条件をどう立式するかがポイントですし、これさえクリア出来れば満点の問題です。
さて、ここで思い出してほしいのは、文系の第1問。
理系の受験生でも文系の問題はとても勉強になるので、ぜひご覧ください。
私が書いた記事はここをクリック! 文系の第一問では、xy座標に3点与えられていて、鋭角三角形をなす条件を求める問題でした。
こちらは複素数平面ですが、非常に似ていますよね。
鋭角三角形をなす条件
理系の問題という事で、文系の時よりちょっと詳しく書きましょう。
鋭角三角形をなす条件というのは、高校数学の教科書のどこにも明確に登場しません。
つまり、知っている条件を組み合わせて使う事によって、鋭角三角形の条件を構築しなければならないという事。
ということで、少し難しいかなぁと思います。
とは言いつつも、近い条件は教科書に存在します。
それが「三角形が鋭角になる条件」です。
どう違うかというと、 教科書に載ってるのは「鋭角になる条件」だけ調べればよいのに対して、この問題で求めるのは「3点が三角形をなす条件 かつ 鋭角になる条件」です。
ということで、二つをまとめましょう。
3点が三角形をなす条件
では、1つ目の3点が三角形をなす条件をまとめましょう。
下の二つを同時に満たすことです。
・3点のうち、どの2点を選んでも同一の点ではない(3つが全部バラバラの場所にある)
・3点が、同じ直線上に並ばない です。
この2条件を両方満たしていれば、鋭角かどうかはともかく、三角形になります。
三角形が鋭角をなす条件
今度は、三角形が存在するのが前提として鋭角三角形になる条件をまとめましょう。
まず、鋭角三角形というのは、「内角のうち最大のものが90度未満のもの」が定義です。
そして角度の計算方法として、よくあるのは余弦定理とベクトルでしょう。
ということで
・三角形の最大の内角に対して、余弦定理でcosが正になる
・三角形の最大の内角に対して、ベクトルの内積が正 となります。
但し、今回の問題はどれが最大の内角になるかわからないので、 ∠Aが90度未満 かつ ∠Bが90度未満 かつ ∠Cが90度未満 という条件で使います。
この辺りの細かい条件の変換も難しさを増しますね。
複素数の偏角argを使う
しかし今回は複素数平面ですから、argを使おうっていう発想が出るのです。
教科書や参考書に、argを使って鋭角三角形の条件を作る問題のパターンは載ってませんから、これも連想が難しいところです。
とは言っても複素数平面では、余弦定理やベクトルの内積が使いづらいでしょうから、自然といえば自然なのかもしれません。
複素数平面は、習うのが高校3年生の最後の方になる場合もあるでしょうから、扱いに慣れずに入試に突入するかもしれません。
僕も現役の頃は、比較的苦手な分野だったのですが、この問題は比較的簡単な部類なのかもしれません。
条件もシンプルだし、計算も簡単です。
15点以上を狙えます。
最後にもう一度言っておきますが、鋭角三角形の条件を、いかに自分の頭の中から引っ張り出せるか。
この応用が問題のポイントでした。
文系第一問と合わせて復習しておいてくださいね。では。