2021年東大国語(第三問漢文)入試問題の研究
2021年東大国語第三問(漢文)井上金峨『霞城講義』
講評
第3問の漢文は近年では一番の難しさと言っても良い。対比構造を見抜く力や熟語類推能力のほか、例年以上に文法面での知識運用能力が高く求められた。テーマを見抜ければ容易に進められただろうが、テーマを見抜けられずとも各個撃破で解ける問題を1問でも多く解く姿勢が合否のカギになるだろう。
当日解いた所感
ちょっと長めで、注釈が少ない問題でした。
著者の井上金峨は、江戸時代中期の日本の儒学者。
すごく論理的な政治論を書いた人です。
「どういう政治が良いか」はなんとなくわかるけど、論理を読み取るのが難しい印象を受けました。
設問で問われているのはわりと普通の内容。
例えば、為や所などの重要な漢字が設問に絡むのはいつもと同じなんですが、
漢字の語彙の知識があると少し有利でしょう。
服、矯、便の意味とか。
「擾乱」という言葉は、日本史選択の人にはなじみあることばだったのではないでしょうか。
一般的に見聞きする言葉ではないですが、日本史には「観応の擾乱」という南北朝時代の戦乱があるので、しっちゃかめっちゃかな戦乱状態であることがわかります。
また、日本史選択優位の説が立証されてしまいました。