2021年東大国語(第四問現代文)入試問題の研究
2021年東大国語第四問(現代文)夏目漱石「子規の画」
講評
第4問の随筆は、純粋な読解能力というより本文の評釈能力を求められたようにも思える新傾向の問題である。筑駒のような詩の解釈問題を中学受験などで経験した人にとっては例年よりも簡単に思えた問題だっただろう。逆に、論理構造から読み解く第1問主体の読解アプローチで攻めた人には掴み所のない設問に感じられ、感想文でも書いているように思えたかもしれない。来年度以降も、本形式が踏襲されるのか注目される。
当日解いた所感
今回一番苦戦した人が多かったんじゃないかな、という問題。
設問数は例年と同じ。
正岡子規の死に寄せて、夏目漱石が書いたエッセーが出題されてます。
この文章のテーマとしては、「正岡子規と夏目漱石の友情」なんですが、そもそも正岡子規と夏目漱石の関係性を全く知らない受験生は、それに気づけない可能性があります。
東大の国語は、例年日本史選択が知識的な面で若干有利なのですが、それでも全体を通してここまで顕著な年は珍しいですね。
さらに、エッセーということで、論理の流れというものは全くありません。
かたい文体で、しかもどの表現もかなり抽象的。
本文自体を正しく理解するのが、なかなか難しいでしょうね。
さらに、今年の第四問は、心情説明の問題が、なんと2つも出題されています。
心情説明は難しすぎるので、東大で出題されることはめったになかったのですが、方向転換でもしたのでしょうか。
今回の心情説明も、例にもれず難しいです。
本文中に、心情を表す直接的な描写、根拠が少ないので、結局は受験生が自分で推察して書くしかなさそうです。
ここまで受験生に解釈を委ねる問題は、めったにないと思います。
また、東大を受ける高校生にとって、友だちが亡くなる心情を忖度できるか?
ことばを巧みに扱う文学者の気持ちを、正しく理解できるか?ということにも、少し疑問が残ります。
とても難しい問題でした。
詳細な解説はこちら
2021年 東大国語 第4問 夏目漱石「子規の画」 答案例・解説など