2022年 東大国語 第3問(漢文)『呂氏春秋』現代語訳など

はじめに

こちらはぜひ、東大2022年の漢文を解いてみた後にご覧ください。

2022年の東大漢文は標準問題であり、典型的な政治に関する評論文でした。
この文章が「典型的だな」と思えなかった方は、Z会『文脈で学ぶ 漢文 句形とキーワード』にあります「ジャンル別文章読解」を熟読することをオススメします。

また、「威」の訳し方について、受験生は頭を悩ましたと思います。
どの訳し方が適切で、どの訳し方だと不適切か、ぜひ辞書とにらめっこして分析してみてください。

「威」の言い換えとして思い浮かぶ語:威圧・威嚇・脅す・脅威・猛威・威厳・威光・威風・威力・威勢

本文と現代語訳の併記

現代語訳

 宋人で道を進む〔旅する〕者がいた。その(者の)馬が(道を)進まないので、殺して鸂水に投げ入れた。また再び(他の馬で)道を進むけれども、その馬も(道を)進もうとしないので、また殺して鸂水に投げ入れた。このようなことが三度あった。(昔の車馬を御する名人であった)造父が馬を威圧して制御した方法といっても、これほどまでのことはやらなかった。造父のような馬を扱う術〔道〕を会得せずに、ただ馬を威圧する方法だけを身につけても、(馬を)制御するのに何の役にも立たない。

 愚かな君主はこれと似ている点がある。君主としての(国を治める)術〔道〕〔=徳〕を会得せず、ただ君主としての威圧を増す。威圧が増せば増すほど、民は一層、活用できなくなる。国を亡ぼしてしまう君主というのは、過度な威圧によって自国の民を働かせることが多い。
 それで、(民への)威圧はなければならない〔必ず必要だ〕けれども、ひたすらそれ(=威圧)に頼るのでは不十分だ。これ(=威圧)を喩えると、料理の味における塩のような存在である。一般的に塩の使用方法は、委ねるもの(=料理の素材)の存在が前提となっている。適量でなければ、料理の素材を台無しにしてしまい、食べられなくなる。威圧もまた同じである。必ず委ねるものが存在して、その後に実行すべきである。(では)何に委ねるのか。(それは民に施す)愛情と実利に委ねるのである。愛情と実利を施そうとする心を(民に)理解されてはじめて、威圧(的なやり方)は実行すべきである。

(もし君主による民への)威圧が大変甚だしければ、(民が理解していた君主による民への)愛情と実利を施してくれると信じていた気持ちが失われる。愛情と実利を施してくれると信じていた気持ちが失われてから、ただ厳しく威圧を行うと、(君主の)身に必ず災いがおこる。これが、(古代王朝の)殷や夏が滅んだ原因である。

 

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