2022年東大英語(第1問A 英文要約)入試問題の解答(答案例)・解説

本問は掴みどころのない文章でまとめづらかったと評する受験生が多くいたが、過去問研究の不足だと言える。
たしかに、一読して明瞭に主張骨子がわかるような文章ではなく、読了後もあまりスッキリするようなものではないが、それは東大要約の特徴でもある。
ゆえに、適切な戦略と適切な訓練を行ってきた受験生にとってはサービス問題だったとも言えよう。

本問で手こずった受験生は、英文要約と文挿入問題が、なぜに同じ第一問に配されているのかを考えてみると解決の糸口が見えてくるかもしれない。
この1Aを4B英文和訳のように一文一文を丁寧に精読したところで、答えは出てこない
「要するに何が言いたいのか」を問う姿勢が重要である。

仮に、強度の苦手意識を英文要約に抱いているのであれば、日本語訳でも日本語の長文で良いので、一言でギュッと要約してみると良いだろう。
その際、どのような思考プロセスを経て、その要約にたどり着いたのかを思い起こしてみると良い。
必ず、どこかに着目して答えを紡ぎ出したはずなのだ。そこに気づけたなら東大要約制覇までの道のりはそう遠くはないだろう。

要約とは、本文の核心を端的に述べる力である。
これは、ミクロの部分ではなく、マクロの部分に着目する力とも言える。
マクロと言われてもピンと来ない受験生がいるだろう。
要は、どんなテーマが隠されているのかを見抜けということだ。

日本語での要約練習問題

たとえば、次の文を10文字以内の日本語で要約する(あるいはタイトルをつける)とどうなるだろう。

「東大模試でなかなか英語の点数が伸びず、自分には東大は無理だと思って落ち込むことが多くなった。ちゃんと復習し、ちゃんと音読しているのになかなか成績が伸びなかった。共通テストでもうまくいかず、落ち込むばかりだったが、良き指導者に出会え、今まで誤った勉強法をやってきたことに気付かされた。自分に合った戦略を提示してもらってからは、劇的に点数が伸びるようになった。水を得た魚のように、毎日の英語学習が楽しくなり、陽気に鼻歌まで歌うようになっていった。飼っているインコも嬉しそうに私を見つめている。空は晴れ渡っている。そうして迎えた東大入試で、私は自己ベストを更新した。東大英語にはコツがあり、安易に諦めてはいけない。」

いかがだろうか。10字以内でまとめるなら、

                                                        東大英語制覇の軌跡

といったところだろうか。
少なくとも、インコや東大模試の話は盛り込めないだろう。
このように、端的に言いたいことをまとめるには、日本語の語彙力も求められる。

さらには、頻出のテーマに精通していることも重要である。

たとえば、東大過去問を探究していると、しばしば「人間を人間たらしめるものは何か」「文明とは何か」「言語とは何か」「コミュニケーションとは何か」という壮大なテーマが散見される。
この手の文章を多く読み解いたことのある受験生にとっては、本文をざっと一読しただけで、ああこういうことが言いたいのかなと予測立てすることが可能となる。
これは何も特別なことではなく、日本語の現代文読解においても言えることだろう。

たとえば、原子力発電のことを聞いたこともないという人に、賛成か反対かを問う文章を読ませたところで、読むスピードは落ちるだろうし、論点を把握するまでに時間を要してしまう。
我々が長文を速読し、スピーディーに要点を掴むには背景知識が必須となる。
受験まで時間がない受験生は是非1Aに限らず、東大過去問を広く深く探究してみると幾つかの重要な気づきを得ることだろう。過去問は最高かつ最強のバイブルなのだ。

要約の骨格になりそうな箇所をビジュアル化したもの

答案例

Aさんの答案  所要時間13分

食物の共有は人間社会に必要不可欠な人間固有のもので、多くの人間の基本的性質と密接不可分である。

生存に不可欠な食物に、人は単なる栄養分以上の意味を与えてきた。

Bさんの答案 所要時間6分

人間だけが食料を分配するのであり、そこから人間の基本的な特質が生まれ、文明の基礎ともなった。食事は人類にとって物理的に摂取する栄養以上の多くの意義を持つのだ。

いかがであったろうか。完全解とは言えないが、短時間で仕上げた割には上手くかけている方だといえよう。
なお、一般的に、1A英文要約には平均11〜13分程度の時間を投じる東大受験生が多いとされる。
それは、解答用紙に答えを埋めるタイムも含めての時間であるから、読解に要せる時間は5〜7分程度といったところだろうか。
時間を意識した訓練はもちろん必要であるが、きちんとした戦略と下準備をした上で、ガンガンに練習をしていこう。

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