2018年 東大理系数学 第2問の解説(数列、互いに素、最大公約数、理系と文系)

 

2018年 東大理系数学 第2問の解説(数列、互いに素、最大公約数、理系と文系)

以前も書きましたが、文系第2問と共通問題です・・・と書きながら、あまりにも難易度に差があるので、共通問題と言って良いのかどうか。
是非、文系第2問と比較しながら問題を見てほしいのですが、誘導の有無で難易度がここまで違うのかが、よくわかる問題です。

数学の問題は、全て誘導問だ!

数学の入試問題では、「誘導問題」が出題されます。ご存知の通り、(1)の結論を使って(2)を解き、(2)の結論を使って(3)を解くというものです。
 

 
そして、「あーーー、これって誘導問題だったのか!!」と気付いて、反省することが多々あるかと思いますが、このHPに訪れた読者の方々には、このレベルを早く脱出してほしい!!

なぜなら、数学の問題は全て誘導問題です。作問者がいて、最後の結論に結び付けたいから(1)や(2)を設置するのです。 そして、こんなこと小学生だって教えれば気付けることです。教えたい先生が悪いというしかない。

ということで「数学の問題は、全て誘導問題だ!!」と言い続けています。

問題の難易度は調整されている

受験生には、あまり理解されませんが、出題者は問題文の一語一句に気を付けて問題を作ります。
特に難易度の関しては、超敏感。
これでは簡単すぎるかな、これでは難しすぎるかな・・・と、どこまで受験生にヒントを出すか、とても気を遣いながら問題を作ります。
 
その、気の遣い方がよく分かるのが、この問題。
繰り返しますが、文系第2問と見比べると、問題の難易度は仕組まれたものだと、よく分かると思いますよ。
 

既約分数の表現は3つある

では、問題の詳しい解説に行きますが、(1)は本番で不十分な解答を作った受験生が多いのではないでしょうか?
問題としては、an/an-1を計算して、既約分数で表す問題なのですが、恐らくanの定義を代入して、終わりにした人が多いのではないかと予想します。
 
しかし、この問題のポイントは、「既約分数」にこだわれるかどうかです。
an/an-1を計算するのは容易なのですが、その計算結果が既約分数になっているかどうかの判別は、とてもややこしい。
そのためには、分子と分母が互いに素になっているかを調べなくてはなりません。
 
ちょっと脱線しますが、「互いに素」って、どう覚えているでしょうか?
実は、色々表現方法があるので、整理しておいた方が良いと思います。
まず、一番有名なのは、「1以外に公約数を持たない」というもの。これは定義ですね。
しかし、受験数学では、もう一歩二歩進んで理解しておいた方が良いでしょう。
二つ目は「最大公約数が1」であるというもの。これは整数の分野で良く使います。
 
そして三つ目は「約分出来ない数」というもの。
これは、厳密かどうかよりも、直観的な理解や、低学年の理解に役立ちます。互いに素な2数を分数にすると、約分できません。
だから、小学生でも互いに素な数が一発で分かるため、役立ちます。
 

既約分数の証明

ということで、an/an-1が既約分数まで約分する話になります。
上で説明した通り、既約分数と互いに素は表裏一体のもの。また、最大公約数も絡むテーマです。
 
最大公約数で連想するものとしては、ユークリッドの互除法。(他にもいくつかありますが、瞬時に連想出来るようにしておいてください。)
ということで、分子と分母をユークリッドの互除法を使うと、互いに素なことが証明出来ます。
 
最後に2が残るので、連続2整数は2!の倍数だという性質を使って、終わり。
しかしそれにしても、正確に証明するのは、やや難しいのでは?と思います。

整数を全て求める

(2)は、整数になるanを全て求める問題です。しかし、これが骨が折れる問題でした。
 
まず考えられることとして、(1)の結果を誘導として利用するので確認しましょう。
(1)では、分母と分子をそれぞれ求めました。
そして、anが整数になると言う事は、分子÷分母が割り切れるということ。
 
あれ?(1)では、割り切れない証明をして、(2)では割り切れる条件を示す・・・
ということで、迷った受験生も多いでしょう。
 
この辺りの性質を上手く利用して証明する方法が、河合塾の解説に載ってました。こちらです。
上手い!
上手いのですが、試験会場でこれを思いつけるかと言えば、うーむ。
限られた受験生だけではないでしょうか?
 

反復試行の最大最小を思い出す

では、他の解答はないのかと言うと、あります。共通問題である、文系の誘導と同じように解く方法です。
 
しかし、さっき上に書いた方法と、どちらが思い付きやすいでしょう。
私個人としては、現時点で答えが出ていません。
上に書いた、分母と分子の偶奇に注目して解答する方法と、下に載せた文系と同じ方法。どちらが、より受験生向けの解答でしょうか?
ぜひ、ご意見を聞いてみたいところです。
 
と、あまりはっきりしないのですが、手書きの解答です。
 

まとめ

解答は、文系の問題と同じ方法を載せました。
僕は文系の問題を先に見て、その後理系を見たので「犯人を知っている推理小説」のような感覚になってしまい、十分に楽しむことが出来ませんでした。
どちらが現実的なのでしょうね。
 
一つ問題提起するなら、
・理系でも、文系の問題を見てみよ!
・文系でも、理系の問題を(共通問題だけでも)見てみよ!
ということでしょうか?
 
誘導や、条件の付け方で、どのように問題の難易度が変わるか知ると、とても勉強になります。
理系と文系は、別々に扱うことがありますが、むしろ一緒にしてみたら、教育的効果が高いのでは?と思いますね。
 

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