抽象と具体を見極めて、読解力を高めよう!

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前回の記事(区切る勉強から脱却して、まとめる勉強へ移行しよう! )はこちら

文章構造の4レベル

まずは、前回までのおさらいです。

文章構造には4レベルあります。

レベル1:文字(letter)が組み合わさって、単語(word)になる
レベル2:単語(word)が組み合わさって、文(sentence)になる
レベル3:文(sentence)が組み合わさって、段落(paragraph)になる
レベル4:段落(paragraph)が組み合わさって、文章(article)になる

レベル1は単語の習得。簡単に言えば、「単語帳でやっておけ」の世界です。多少は学校で方法論の解説があるでしょうが、基本は自学自習がメインになるはずです。

くわしくはこちら(なぜ単語暗記が苦痛なのか? )へ

 

レベル2は、受験英語の勉強のメイン!授業のほとんどが、このレベルの解説です。

つまり我々は、一文が読めるようになる方法を6年間訓練している、と言い変えられます。

このレベルの話は、様々な先生が、様々語ってらっしゃいますから、私はあえて触れません。

一応、前回の記事(区切る勉強から脱却して、まとめる勉強へ移行しよう! )で書いてますので、よかったらご覧ください。

 

ちなみに、レベル2を勉強することは、悪いことではありませんが、レベル1とか3、4は放置して良いの?

というのが、このブログのスタンスです。

 

段落の構成を学ぼう!

では、今日はレベル3に行こうと思います。

レベル3は、文の組み合わせで段落を作るレベルの話です。

 

あまり教えられることが少ないかもしれませんが、段落の構成にもパターンがあります。

文章を書くのは、高度な技術が必要で、職人技のような素人からは分からない領域のものだと思われているかもしれませんが、そうではありません。

(と、私が言える立場ではないかもしれませんが)

 

ある程度、型やパターンが存在していて、そこから大きく逸脱しないように書かれていることが多いです。

だから、パターンを知っているだけで、深く読むべき場所や、ポイントが書かれている場所が、読まずとも分かってしまいます。

今日は、その1つを扱います

 

(抽象)→(具体)→(抽象)の関係を知ろう!

もう世間で説明し尽くされた話ではありますが、まだまだ浸透していないので、私も解説にチャレンジしてみようと思います。

 

では内容に入りますが、文章は抽象→具体→抽象の順が1セットになって書かれることが非常に多いです。(評論文では)

但し、必ず登場するかどうかは分からず省略されることがありますから、(抽象)→(具体)→(抽象)とカッコを付けておきますが。

 

面白いので、「サンドイッチの法則」とでも名前を付けておきましょうか。

真ん中が、具(体)ですし。

 

 

そして、抽象の部分と、具体の部分に特徴があります。

 

抽象の部分には、筆者の主張や結論が登場します。法則や性質、まとめ、主題と言い換えても良いかもしれません。

また具体の部分に比べて意味が分からないことが多く、一読しただけでは意味が取れないこともあります。

 

具体はその逆。

読者がイメージしやすい内容を書き、読者に納得をさせ、筆者の主張の説得力を高める働きが主です。結論や主張、法則などは登場しないのが普通です。

 

この2つの内容を、抽象→具体→抽象とサンドイッチにして文を書く事により、読者を説得させようとします。

 

センター2017本試で確認しよう!

それでは、抽象→具体→抽象の関係を、このブログでお馴染み2017年センター試験の第1問で解説しましょう。

(この問題、ホント解説するのに便利だわ)

 

 

画像の赤で囲まれたところが抽象青で囲まれた部分が具体です。

 

文頭の抽象表現

まず文頭に抽象表現が来ています。

「現代社会は科学技術に依存した社会である。」という内容です。

 

本ブログでは、精読と読解を使い分けて説明しています。

文字に書かれている事を読み取るのが、精読。

文字に書かれていないことを読み取るのが、読解。

です。(詳しくはここを参照

 

この文頭の一文。精読は可能です。

現代社会が、科学技術に依存していると書いてあるんだから、そういうことが言いたいんでしょう。

しかし、何のことを言いたいのか、よく分かりません。

それでOK。なぜなら具体的な話が一切出ていないからです。

よって、ふーん、と思ってスルーすれば良し。あまり気にしなくて良いでしょう。

 

初級者はここまでで良いですが、中級者ならばあと2つ、上級者のためにさらに1つ追加しましょう。

 

中級者のためのポイント(文頭の抽象表現、悪口言葉と誉め言葉)

まず中級者のための一つ目ですが、文頭の一発目に抽象表現を書き、読者に意味を分からせないというのは、書き手の技術です。

「何言ってるの?意味分からない?」

と思わせて、読者の興味を引くと言う、コテコテの技法があります。

だから、分からなくても特に気にしなくてOKです。

 

二つ目は、誉め言葉と悪口言葉を見つけるというもの。

実は既にこちらの記事で書きましたが、書き手は敵と味方、好き嫌いを分けて書きます。

今回であれば、

「現代社会は科学技術に依存した社会である。」

の一文だけで、筆者が科学技術に肯定的なのか否定的なのか、分かってしまいます。

注目する単語は、「依存」。

 

「依存」は原則として、私の主宰する塾では悪口言葉認定しています。

あまり良い意味では使われない単語だからです。

もし筆者が科学技術が好きならば、

「現代社会は科学技術のお蔭で成り立っている社会である。」

とでも書けば良いわけです。

ということで、科学批判の文章なんだろうな~というのが分かります。

 

上級者のためのポイント(日本史や思想史を踏まえる)

上級者のためのポイントとしては、日本史や世界史、倫理や政治経済の学問を踏まえて文章を読むということでしょう。

詳しく書くと、とんでもない量になるのでちょっとだけしか書けませんが、歴史的な背景から、国語の現代文では科学技術に対して批判的な立場の文章しか掲載されません。

(絶対とは言い切れないのですが、確率としては非常に高い)

 

単純に分けられないのですが、左と右で言えば、右寄りな文章は登場せず、左寄りな文章ばかり。保守的な文章は見かけず、革新的な文章が多いです。

 

そういう、学者や評論家の方々の考え方やトレンド、背景にある歴史的な事実と解釈を踏まえて文章を読むと、文章を読まなくても主張が掴めてしまいます。

 

物凄く簡単に言えば、「どうせ科学をテーマにした話だったら、こういう結論になるんでしょ」

というのを知ってしまっている、ということです。

これが上級者のポイント

 

ということで、本当は画像の全体を解説したかったんですが、字数も時間もオーバーしてしまったので、今日はたった一文で終了(笑)

ま、本来文章って、そうやってスローリーディングするものなんですけどね。

 

20分で、こんな長文読んで、問題に答えられるかい!!

というツッコミをしても、世界は何も変わらないのかもしれませんが、どうかそういう読み方もあるのを知ってほしいと思います。

では、次回からは、抽象と具体の話の続きへ。

 

 

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