2024年(令和6年)東大文系数学を当日解いたので、所感を書いてみた。

 

敬天塾の塾長と講師が東大の二次試験当日(2024年の2月25日・26日)に入試問題を解いて、所感を記した記事です。他の科目については、こちらのページにリンクがございます。

【科目全体の所感】

総合難易度 
客観的な難易度判定 標準~やや難
受験生の心理的な難易度判定 やや難~難

トピック① 難易度判定が定まらない。

変な問題でした。
普通、(1)が簡単で、(2)(3)と進むにつれて難しくなりますが、今年の問題は逆。(1)が難しくて、(2)以降がときやすいという問題構成です。

解きやすい問題が出題されている以上、客観的な難易度判定は簡単めになりますが、受験生(特に数学が得意ではない人)にとっては、かなりの難易度に感じられたでしょう。
ということで、初めてですが、難易度判定を別角度で2種類載せてみました。
といっても、受験生心理の方が言いすぎかな?

トピック② 対数が出題された!

東大ではほぼ出題例のない、対数の問題が出ました。かなり珍しいです。

トピック③ 放物線と円の問題が再登場

2022年まで頻出だった、関数と円が絡む問題が再登場しました。1年はさんで同テーマの問題が出されることがたびたびありますので、覚えておきましょう。

トピック④ 整数が出なかった。
(厳密にいうと、第2問が整数の問題と言えば整数の問題ですが)、今年の整数の問題が出ませんでした。もしかすると、新課程になると「整数」という単元がなくなることを受けているかもしれません。

文系第1問 放物線と円

難易度 (1)やや難、(2)やや易、(3)やや易

2023年に出題されなかったことで、油断していませんでしたか?
1年出題しない年を挟んで、同じテーマが復活するのは、東大数学アルアルです。過去問を良く分析しておきましょう。

今年の問題の特徴ですが、(1)にやや重めの問題があって、(2)以降は簡単。しかも、この問題は(1)でa,b,cをsで表現できてしまえば、あとは計算だけになってしまいますからね。何としても(1)を取りたい問題でした。

(2)は題意から東大が大好き♡6分の1公式でおしまい。(3)も東大が大好き♡相加相乗などを使って頑張ってください。

文系第2問 対数・整数

難易度 (1)易、(2)やや難

(1)は教科書の例題なので、サービス問題。と言っても、実はこういう問題は、解けたところでリードできるわけじゃなく、解けない人だけ脱落していくという爆弾みたいな問題なんですが。

(2)はあまり解いたことがない問題に見えたでしょう。(1)の誘導に対して、4のm乗がくっついています。(1)の答えより小さい値になることはわかってますが、mに大きな数字を入れてしまうと、計算できません。
これは、発散速度の問題で、5^mと4^mを比べたとき、mが大きければ大きいほど、5^mの方が圧倒的に大きな値になるという性質を利用します。
つまり、5^mに比べて、4^mなんて小さな値なので、(1)の答えと同じか、一つへらせばよいんじゃないか、というところから発想を得ていきます。

が、それを示すのが一苦労。
(1)と同じように対数を取って、5^mと4^mの桁数を調べてみればできると思います。ただ、いつものやり方にちょっと工夫が必要なので、そこに気づけるかどうか。

文系第3問 座標と角度、面積

難易度 (1)やや難、(2)標準、(3)標準

(1)まず問題の設定を理解した瞬間に、気づきたい特徴が「角度の問題だ!」ということ。
座標上の角度の問題は、解き方がいくつかありますが、tanを使うことが多いので、tanを使って、2つの角度を求めてください。
そして、=(イコール)で結ぶと答えです。

ただし、tanを使う場合、角度の正負(向き)を気にしなきゃいけないとか、計算がそれなりに面倒になるなど、思わぬ伏兵がいくつかいます。正確に計算して答えまで出せる人は少ないのではないかと思います。

(2)はqに代入して、(3)は不等号を解くだけなので、簡単です。

文系第4問 確率

難易度 やや難

毎年、場合の数・確率の問題は一筋縄ではいきませんが、今年も難しかったですね。
要するに、円の中心を含むように、正多角形の頂点を選んで四角形を作るという問題。絵を描いて、いろんな四角形を作れば、中心を含んだり、含まなかったりするのが分かります。

これを、どう一般化するかというのが問題です。
「分からなきゃどうする???」
「具体的な値で調べてみる!!」

ということで、n=5、n=7と調べていって、法則を探してみましょう。
すると、中心を含まない場合に法則が見えてくると思います。

ある頂点から、なるべく遠い対辺を作る頂点に対角線を引いてみましょう(一番長い対角線)。
この対角線は、中心をギリギリ避けて引いてある対角線のはずです。そしてこの対角線によって正n角形が真っ二つに分かれるようになっていると思います。このうち小さい方は中心を含まず、大きい方は中心を含みますね。このように、ある頂点から対角線を引く場合に、中心を含む側に引くのか、中心を含まない側に引くのかがポイントになっているのです。
と、こんな方針で私は解いてみましたが、いかがでしょうか?
この発想にたどり着くまでにそこそこ大変でしょうから、難易度も標準より高めかなと思います。

【個人的なつぶやき】

何度も書きますが、(1)が難しいっていうのは、何とかならなかったかなぁ。苦手な子でも、少し報われるような点数が取れるテストにしてほしいと思うのですが。まあ、(1)がとけてしまうと、そのまま最後まで行けてしまうので、(1)の突破力次第なところもありますが。

難しくて泣いてしまう受験生や、調子を崩してしまう受験生がいますが、よく考えてみれば、数学が難しいということは差がつかないということです。苦手な人に有利な問題が出たということです。むしろラッキーですよ。そのくらい楽観的に、2日目も頑張ってほしいなと思います。

毎年この日は、早朝に起きて駒場まで応援に行き、午後から国語と数学の問題を解いて分析して、記事を書いて・・・という、一年で一番疲れる日です。正直、これを書いている今も、グロッキーで、今すぐ寝たいですが、目をこすって問題を解きました。
全く健全な体調ではないので、考察や計算など間違いがあるかもしれませんが、発覚次第修正します。(間違ってたら、ほんとすみません)

あとは東大の先生方、今年も良問を作問してくださり、ありがとうございました!

 

他の科目については、こちらのページにリンクがございます。

 

最後に(宣伝)

上記の記事は、敬天塾の塾長が執筆しています。
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