2021年東大英語(第2問B 和文英訳)入試問題の解答(答案例)・解説

問題

(中略)
 いや、別に嘘をついているわけではない。たしかに、大学に入ってしばらくのあいだ、語学を仕込む期間はこんなふうにやらなければならなかった。だが、語学の習得は自転車に乗るようなもので、練習しているあいだは大変でも、一度乗れるようになってしまえばなんでもない。あとはいつも乗ってさえいればいいのだ
         (木田元『新人生論ノート』を一部改変)

総括

2018年に20年ぶりに復活した和文英訳問題ですが、本年度も2Bで登場しました。

皆さんは、和文英訳と聞いた時に、どのようなスキルが求められるとお考えですか。
基本構文の駆使、正確な文法力、豊富な語彙力、スペルミスや句読点の付け忘れなどへの注意力といったものが、とっさに思い浮かぶでしょう。

また、中学高校で和文英訳の授業は自由英作文に比べれば頻繁に実施されていますから馴染みのある出題形式ですし、並べ替えや穴埋め問題と並んでオーソドックスな問題形式として和文英訳は知られています。

ですが、なぜか東大2B和文英訳では全然点数が取れないと嘆かれる方が毎年多くいらっしゃいます
学校や塾の和文英訳では、いつも満点を取る子でもです。
なぜに同じ和文英訳なのに、こうも違うのでしょうか。

それは、英訳目的が異なるからです。
学校でやる和文英訳は、基礎構文力を身につけることに重きが置かれ、扱われる題材も学習効果を高める観点から作られた短文ですから非常に取り組みやすいのです。

その一方、東大入試で課される和文は、受験生を選抜することを目的とし、一般書から一部抜粋したもので英訳されることを前提とした文ではありませんから分かりづらく、逐語訳でもしようものなら文意が崩れてしまう特性があります。

東大教授は、受験生に構文力を身につけてもらうために出題しているわけではないということですね。
東大側がどのような点を受験生に問うているかというと、
① 基礎構文力(文法力)
② 語彙力
③ 言い換え力(文意把握力)
の3点だと私は考えます。

多くの受験生は①と②に主眼を置きますが、実のところ、この③が東大英作文で求められる最重要項目だと言っても過言ではありません。
たとえば、「猫の手も借りたい」を英訳する時に、字義通りにI want to borrow a cat’s hand.と訳しても意味不明ですよね。
そうではなく、ここで伝えたいニュアンスは助けが欲しいということですからI need your help.と訳さなくてはいけないわけです。
これに似た問題を東大は2003年2Bで問うています。以下、問題文を掲載します。

これは自由英作文の問題ではありましたが、言葉を字義通りに捉えても適切に英訳はできないことを示す好例です。

次の文章は、あるアマチュア・スポーツチームの監督の訓話の一部である。この中の、「雨降って地固まる」という表現について、それが字義通りにはどういう意味か、諺としては一般的にどのような意味で用いられるか、さらにこの特定の文脈の中でどのような状況を言い表しているのかの3点を盛り込んだ形で、60語程度の英語で説明しなさい。

昨年は、マネージャーを採用すべきであるとかないとか、補欠にも出場の機会を与えるべきだとか、いやあくまで実力主義で行くべきであるとか、チームの運営の仕方をめぐってずいぶん色々とやり合いましたけれども、「雨降って地固まる」と申しまして、それで逆にチームの結束が固まったと思います。今年もみんなで力を合わせて頑張りましょう。

(東大2003年)

皆さんは、東大2B英文和訳の解答例を参考書などで確認すると思います。
プロの先生方が時間無制限で調べながら書き上げた英文ですから、非常に優れた英文ばかりですよね。
私が受験生だった頃は、こんなの一生書ける気がしないと思ったものです(笑)。
もちろん、こういったプロの解答例がスラスラ書けたら、こんなにも素敵なことはありませんが、大多数の東大受験生は塾講師のようには書き上げることはできません。
ルノワールやピカソの名画を芸術鑑賞したところで、巨匠と同じような絵を描けないのと同様に、模範答案を呆然と眺めるだけで、ある日目覚めたら、突然にすらすらと英文が書けるようになることはないのです。

では、諦めるしかないのかというと、決してそんなことはありません。
本稿では、エレガントな解答例を示すというより、満点でなくとも、泥臭く点数を取る思考プロセスを詳述していきたいと思います。
2Bに苦手意識のある方にこそ、是非熟読していただきたいと思います。
きっと、表現することが楽しくなってくるでしょう。

思考プロセス

問題文を再掲します。

(中略)
 いや、別に嘘をついているわけではない。たしかに、大学に入ってしばらくのあいだ、語学を仕込む期間はこんなふうにやらなければならなかった。だが、語学の習得は自転車に乗るようなもので、練習しているあいだは大変でも、一度乗れるようになってしまえばなんでもない。あとはいつも乗ってさえいればいいのだ
         (木田元『新人生論ノート』を一部改変)

 

下線部を句読点ごとに区切ってみますと、5つのパートに分けられそうです。

① だが

② 語学の習得は自転車に乗るようなもので

③ 練習しているあいだは大変でも

④ 一度乗れるようになってしまえばなんでもない

⑤ あとはいつも乗ってさえいればいいのだ

とあります。多くの受験生は下線部だけ読んで英訳を試みるわけですが、なぜに東大側が下線部前後の文章を載せているのか考えてみてください。
それは、訳しづらい箇所が出てきた時にヒントにして欲しいという思いを込めているからです。
4A正誤でも、4B英文和訳でも、5の物語文でも下線の所だけ拾い読みする受験生が多くいますが、東大教授も作問にあたり、そうした受験生の存在を想定してワナを仕掛けています。

2Bについては、確かに下線部だけ読めば何とかなることも多いのですが、2020年2Bの「まゆつばもの」のように、下線部以外のワードから適切な訳語を類推しなければならない設問も出されますので臨機応変に問題文を活用しましょう。

なお、東大や京大の2Bでは堅い文体で旅や人生訓などありがたいお話がよく出されますので、文意を正確に把握するためにも日本語の語彙力を磨くことも忘れないようにしましょう。
東大入試では、全教科的に国語力が高度に求められているからです。
また、人生訓の英訳訓練を京大や阪大あたりの過去問も使いながら訓練しましょう。
それでは、①〜の順に見て行くとします。

だが、の英訳を泥くさく考察してみた

なんてことはない、HoweverButと表現するだけのことのように思われたことでしょう。
ただ、1点気をつけてほしいのは、この「だが」が何と何を逆接の関係で結びつけているのかということです。

下線部の手前に至るまで、筆者はギリシア語やラテン語を習得するために毎日7〜8時間も集中的に勉強をし続けなければならなかったと仰っています。
そうした流れを受けての「だが」なわけですが、この「だが」が導いているのは直後にある「語学の習得は自転車に乗る練習のようなもので」のゾーンではなく、「一度乗れるようになってしまえばなんでもない」のゾーンだということを案外忘れがちです。
つまり、語学をマスターする過程は辛いかもしれないが、マスターできると苦痛に苛まれることはないと指摘されているわけです。

なぜ、このような注意喚起をしているかというと、和文英訳において、日本語が1文だったとしても、英訳しやすいように何文かに分割して訳す受験生が増えているからです。
非常に好ましいことではあるのですが、①②を一括りにして文を終わらせようものなら、「だが」が本来導きたかった対比構造が不明瞭になってしまいます。
この点、東大教授はそこまで考えて作問していないと仰る方がいますが、東大駒場の英語授業を受けていた身としては、東大教授をナメるなと言いたいです(笑)。

私達が考える以上に、遥かなる高みから受験生の答案を俯瞰されています。ですので、①②③④を一文でまとめるか、あるいは、日本語の順序を敢えて崩して、③→②→①→④の流れで文を書き上げるといったやり方も観念できるように思えました。
③は下線部直前の内容と一致しているので、敢えて冒頭で書くのもアリだと考えたからです。
なお、ここで申し上げている①〜④の番号表記は下記の分類に拠っています。

① だが
② 語学の習得は自転車に乗るようなもので
③ 練習しているあいだは大変でも
④ 一度乗れるようになってしまえばなんでもない
⑤ あとはいつも乗ってさえいればいいのだ

いかがでしょうか。
「だが」一つをとっても、意外に奥深いと驚かれたのではないでしょうか。

ちなみに、自由英作文において、日本人はButHowever逆接表現や、Thereforeso因果性を導く表現を多用する傾向にあります。

ですが、東大教授曰く、「逆接関係も因果関係も見当たらないのに、とりあえずButやThereforeを書いて、さも論理的な文章を心がけていますよとアピールしている答案があまりに多い」とのこと。ぜひ注意をされてください。

なお、Butを文頭に書いて良いのかというご質問をいただくことがあります。
ここ10年ほどで、中1の教科書でもButを文頭に書いた文章を普通に見かけるようになりました。
英語の語法は、時代の変遷によって変わっていきますのでButを文頭に書いても問題はないと思います。
ですが、一昔前までは、文頭にButを持ってくるのは少なくともacademic writingにおいては好ましくないと言われていましたので、文頭に使いたくばHoweverを使えと指導されることが多かったです。
これと同様の問題が、「So」にも当てはまりますが、soに関しては文頭に用いることは少なくともacademic writingにおいては市民権を得ていませんので、ThereforeThenなど別の表現を用いたいところです。

会話文では普通にSoを文頭に持ってくるではないかと思われたやもしれませんが、東大英作文ではあくまでフォーマルな英語を書くことを第一原則とすべきです。
東大現代文の答案に、友達と話すようなラフな日本語を書く人はいませんよね? それと同じです。

もっとも、ラフな英語しか思い浮かばず延々と悩むくらいなら、多少の減点覚悟でサクッと解答欄を埋めて、別の大問にただちに移るという駆け引きも東大英語ではものすごく大事です。

語学の習得は自転車に乗る練習のようなもので、の英訳を泥くさく考察してみた

語学の習得や人生を自転車にたとえた名言が西欧には数多く見られます。
たとえば、

Life is like riding a bicycle. To keep your balance, you must keep moving.

(人生とは自転車に乗るようなものだ。バランスを保つためには、進み続けなければならない。→立ち止まったり悔いたりするより先に進むといいことがあるよと言っているのでしょう)

この名言を意識して筆者が本文を書かれたのかはわかりませんが、このパートを順当に訳すなら以下のようになるでしょう。

  • learning a language is just like practicing riding a bicycle

ここで注意して欲しいのは、practiceを動詞として用い、目的語に動詞を持って来たければ動名詞にしなければならないということです。
practice to〜と間違って書いた受験生が数多くいたようです。
試験会場で、「あれ、practiceの後ろって動名詞だったかな、不定詞だったかな」と悩まれたら、practiceを敢えて使わない手も考えたいものです。
「語学の習得」と「自転車に乗る」を比べているわけですが、文脈上、「自転車の乗り方」と和作文を行い、how to ride a bicycleと表現することもできましょう。とするならば、

  • learning a language is like learning how to ride a bicycle

と表現できそうですね。

さらには、「〜のような」をlikeで表現することが試験会場で思い浮かばなかったとしても嘆いてはいけません。
意味を考えてみるのです。
「語学の習得は自転車に乗る練習のようなもの」というのは、「語学の習得は自転車に乗る練習と似ている」と言い換えることもできそうですね。
すると、高校受験でもお馴染みのbe similar to でも使って、

  • learning a language is similar to learning to ride a bike
  • the process of learning a language is similar to the process of learning to ride a bike

と訳すことも可能です。なお、be similar toの[to]は前置詞ですから、動詞を持ってきたくば動名詞にしなくてはいけません。
ここは要注意です。
東大2021-4A実況中継の設問(23)の解説も併せてチェックしましょう。

そのほか、「共通している」と考えて、

  • learning a language and learning how to ride a bike have a lot in common

とすることもできそうです。
ですが、likebe similar toも思い浮かばなかったらどうしましょう。
ここで、もう一度、下線部の分類を考えてみます。

① だが
② 語学の習得は自転車に乗るようなもので
③ 練習しているあいだは大変でも
④ 一度乗れるようになってしまえばなんでもない
⑤ あとはいつも乗ってさえいればいいのだ

いま、私達は②にフォーカスをあてて考察をしているわけですが、いっそのこと②と③を合算して、「語学の習得は自転車の乗り方を習得するのと同じくらい大変だ」と言い換え、as〜asを用いる戦略も考えられそうです。

  • learning a language is as hard as learning to ride a bike when you practice it
  • mastering a language is as difficult as it is to ride a bike
  • learning a language is as hard as it is for me to practice riding a bike

のように表現することも可能に思えます。
あまりうまい表現ではないかもしれませんが、時間制約が厳しい東大英語にあってベストよりもベターを目指すくらいが総合点アップには繋がることでしょう。

比較級も思いつかなかったなら、いっそのこと「〜のようだ」というニュアンスを減点覚悟で敢えて書かず

・I think learning a language is riding a bike

・I think of learning a language as practicing riding a bike.

と言い切ってしまうのもアリでしょうか。
とはいえ、できれば「〜のようだ」「類似している」のニュアンスは出したいところではあります。

なお、語学については、a languageなりlanguagesで良いと思います。ただ、下線部以外のゾーンでギリシア語やらラテン語を筆者は例に挙げていますから、a foreign languageと書いても問題はないように思えます。

いかがでしたでしょうか。このように頭の中にある知識をフル活用して、なんとか泥くさく思考を巡らすことが和文英訳制覇の極意だと私は思っています。

エレガントな解答例をサクッと書ける方もいらっしゃいますが、入試当日には色々なアクシデントが起こり得ます。
普段ならすらすらと英訳できる子でも、頭が真っ白になってしまって何も思いつかなかったなんてこともあります。

そうした時に、敬天塾の実況中継解説で学んだ泥くさく考察する姿勢を思い出してもらえたなら、こんなにも嬉しいことはありません。英語が得意な方にとっては、冗長な解説になっていると思います。申し訳ございません。

練習しているあいだは大変でも、の英訳を泥くさく考察してみた

このパート(③)の書き方は、②や④と如何に繋げて書くのかによって変わってくるところがありますが、ここでは、ひとまず単独で書いた場合を想定して案をいくつか示したいと思います。

まず、順当に訳すなら

  • you may find it hard while learning
  • it might be hard while practicing
  • it is tough when you are practicing
  • you may have a hard time while you practice

となりましょうか。
「大変でも」をどのように訳すのかが一つのポイントになってくると思います。
toughhardが思いつかなければ、別の切り口を模索することとなります。

たとえば、「練習している」とは、言語や操車スキルを身につけている過程や、②で示した目標の達成のために行なっているものだと言え、「大変」とは文脈から多くの時間と労力が必要だということを指すことが明白ですから、

  • In the process of mastering the skills, you need much time and effort.
  • it takes you a lot of time and effort to master the skills
  • it takes you a lot of time and effort to achieve the goal

と訳すこともできそうです。
文脈的にはこちらの方が、より具体性のある感じに仕上がっていますが、これを和文英訳と捉えて良いかは議論のあるところかもしれません。
ですが、映像授業でも申し上げた和作文の本質からすれば、的外れなことはしていないはずです。

一度乗れるようになってしまえばなんでもない、の英訳を泥くさく考察してみた

このパートでは「なんでもない」の訳語が勝負の分かれ目かもしれません。
こんな単語は和英辞典で調べても出てはきません。
前後の文脈から、「なんでもない」が意味しているのは「そんなに苦労することもなくなる」「たやすい」「朝飯前になる」「あたりまえにできる」だと言えます。

字面を形式的に直訳するのではなく、きちんと文脈のなかで、どういう意味を持つのか吟味検討する国語力が和文英訳では求められています。

今年度に関しては、さほど和作文のスキルを駆使せずとも英訳できた受験生は多かったと思いますが、2020や2023あたりになってくると下線部以外の本文も読み込まなければ上手く訳せなかったはずです。

なぜ、下線部以外の文章も東大側は用意しているのか、その意図を汲み取ってください。さて、それでは、ここで「なんでもない」の標準的な訳例を幾つかご紹介するとしましょう。

  • nothing is difficult
  • it’s a piece of cake
  • you will have no problem
  • you won’t have any trouble
  • you don’t have to make much effort anymore
  • you no longer need much effort
  • you can do it effortlessly
  • you can do it without much effort
  • you can do it routinely
  • you will find it easy to do that

あたりが考えられます。

では、「一度乗れるようになってしまえば」についても考えてみましょう。
まず、標準的な訳例を挙げるなら

  • once you become able to ride a bicycle
  • once you have learned to ride a bike

となりましょう。
もちろん、このままでも文句なしですが、「一度乗れる」というのは文脈上、「いったんマスターしたならば」「いったんコツをつかんだならば」と言い換えられそうですので

  • once you get the hang of it(コツをつかむ)
  • once you have mastered it

と表現することもできそうですね。
onceという単語が思いつかなければ、whenifを用いるのもアリです。

今年度の問題に関しては、和作文をしまくるよりも字面通りの標準的な訳例をサクッと書き上げることのほうが容易だったようにも思えます。
それでも、試験会場でなんらかのアクシデントが起き、頭が真っ白になったなら、自分が英訳しやすいように問題文を文脈に沿って加工する手段があることもぜひ思い起こしてみてください。
市販参考書の解答例は実にエレガントではありますが、合格点を叩き出すのにエレガントさは必要ないということを強くお伝えしたいと思います。
がめつく点数を1点でも多くもぎとってください。

あとはいつも乗ってさえいればいいのだ、の英訳を泥くさく考察してみた

いよいよラストのパートです。
高校生レベルで知っている表現に落とし込むなら、only have to〜all you have to do is〜あたりを用いることになるでしょうか。

気になるのは「いつも」です。
これをalwaysで訳すのは危険でしょう。

なぜなら、本問における「いつも」は、「私は、いつもバスで学校に行きます」の「いつも」とはニュアンスが異なるからです。
語学を使ったり、自転車に乗るという習慣を維持するというニュアンスのように思えます。
そう考えると

  • all you have to do is just ride a bike regularly
  • you only have to keep riding
  • you have only to keep it a habit to ride a bike
  • you have only to ride a bike as often as you can

あたりの訳例が考えられるでしょうか。

いかがでしたでしょうか。
日本語文から、これだけの別解を紡ぎ出せるのです。
それくらい異なる言語を訳すという作業が高度で複雑だということでもあります。
参考書などで解答例が1〜2例ほど示されると、そのほかの表現はダメなのかと落ち込むことがあるかもしれません。
ですが、上述のように文脈把握をしっかり行いさえすれば、いくらでも正解の文を生み出せます。

だからこそ、東大教授はすごいのです。
これら膨大な訳例を短時間で正確に採点できるのですから。
東大教授レベルの採点は、英語圏の一般ネイティヴでも簡単にはできません。

日本人なら誰でも東大現代文の採点ができるわけがないのと同様です。
英作文は数学に似ていると映像授業のなかで申し上げましたが、試行錯誤のなかで格闘する過程は、まさに数学そのものだと私は感じております。
その格闘の様を受講生の皆様に文字で伝えるために、こうも長文化してしまうのです。

さて、以上、5つのパートに分けて分析考察を重ねてきましたが、各パートで申し上げた表現を組み合わせれば答案骨格は出来上がります。
その上で、英作文7つの大罪(https://exam-strategy.jp/archives/10835)や映像授業のなかでもお伝えしたように、時制や三単現のsなどに注意しつつ、スペルミスやピリオド付け忘れといったポカミスを犯さないように最後の仕上げを細心の注意を払ってしていきましょう。
決して最後の最後まで油断はしないでください。人はミスを犯す動物だという認識のもと、何度も何度も見返しましょう。

それでは、ここで、いくつかの答案例を示したいと思います。

答案例

これなら私にも書けるかもと思わせてくれる答案例

However, learning a language is like practicing riding a bicycle and you will find it easy to do that once you have mastered it, although it is tough while practicing. Then, all you have to do is just keep riding,

こんなのを書いてみたいと思わせてくれる答案例

Learning a language is like learning how to ride a bicycle. In the process of mastering the skills, you need much time and effort. However, once you have mastered it, you can do it without much effort. Then, you only have to ride a bike regularly.

2021年度高得点合格者の再現答案

こちらの入試問題研究をご覧ください。

https://exam-strategy.jp/archives/8270

いま話題のchatGTPが考えた答案例

  • However, language acquisition is like practicing riding a bicycle. It may be difficult while you are practicing, but once you become able to ride, it’s a piece of cake. After that, all you have to do is keep riding.
  • However, language acquisition is like practicing riding a bicycle. Although it may be tough during practice, once you become able to ride, it’s no big deal. All you have to do is keep riding.

なお、chatGTPに関しては、以下の記事もよろしければご覧ください。

https://exam-strategy.jp/archives/13922

解きっぱなしで終わらせない。2021東大英語2Bの復習用重要表現集

今年度の問題で、「語学の習得」が取り上げられたこともあり、せっかくですから有益な表現を皆様に吸収していただければと願っております。

私たちは言葉を操っているのか、それとも言葉に操られているのか

こんなお題が2020の東大自由英作文で出題されました。
東大英語部会を構成する先生方は、どなたも言語学のスペシャリストです。
言語をテーマにしたお題は、他の大問でも数多く出されてきましたので、過去問探究をしっかりすすめてこられた方には、ラッキーな1題だったかもしれません。

言語学習(language learning)においては、語彙力や文法力(command of vocabulary and grammar)に留まらず、論理的な思考力(logical thinking ability)や異文化への理解(cross-cultural awareness)も、学習者の言語習得(learners’ language acquisition)に大きく寄与すると言われています。

海外旅行(traveling abroad)や留学(studying abroad)をする人が増え、英語に限らず様々な国の言葉に触れる機会が多くなりました。
言葉を学び、異国の地へと足を運ぶことで、文化の多様性を知り(recognize cultural diversity)、自分自身の視野を広げる(broaden your horizons/perspectivesなど)ことにもつながります。

こうしたメリットに魅了されて、幼少期から英会話教室などに通わせる早期英語教育(early English education)がブームになっているようですが、日本語能力(Japanese language proficiency)すら低下している昨今、賛否両論(pros and cons)があります。
ちなみに、英語に関しては、Jay Walker氏のTEDは実に興味深いので、ぜひ一度ご覧になられてみてください。
Youtubeの設定で、日本語や英語の字幕を表示することもできます。

https://youtube.com/watch?v=ZpILR21GWao&si=aJZIIYh9IBLGk1t9

さて、2021-2Bに戻るとしましょう。
設問文のなかで、ラテン語(Latin)について述べられていました。
かつては、隆盛を極めていた言語でしたが、今となっては一般教養として学ばれるものとなっています。
言語の地位(language status)は、政治的・軍事的・経済的・文化的な力と密接に結びついていて(intimately bound up with plolitical, military, economic, and cultural power)、これらの要素が変化するなかで、言語そのものも隆盛を極めたり衰退したり(rise and fall)します。

地球上には、数千もの言語が存在すると言われています。
東大2010-2A自由英作文で、もしも世界の言葉が1つの言語に淘汰されたらどうなるかというお題が出されました。
バベルの塔に着想した問題でしょうか。
そんなことにでもなったら、言語は文化的な多様性の一角をなすものですから、多様な信念(beliefs)や価値観(values)をこの世界から消し去ってしまう危険性を孕んでいます。
ただ、現実問題として、世界から次々に言語や方言が消えていっているのです。

ユネスコによると、1950年から2010年の間に、230もの言語が消滅した(230 languages went extinct)そうです。
さらには、今世紀の終わりには1500もの言語が誰にも話されなくなると予測されています(It is predicted that 1500 known languages may no longer be spoken by the end of this century.) 。
こうした消滅危機言語(endangered languages)を保存しようとする動きが、いま世界で加速化しています。東大新聞などの記事リンクを幾つかご紹介したいと思います。
東京大学教養学部でも、このようなテーマの授業は開講されていますので、ぜひご進学後に積極的に学ばれてください。

https://www.nationalgeographic.com/culture/article/saving-dying-disappearing-languages-wikitongues-culture

東大和文英訳対策 類題演習題材のご紹介〜入試問題良問選〜

本稿の冒頭でも申し上げた通り、世の中には和文英訳の問題は腐るほどあるも、東大の和文英訳に類似した問題はなかなか入手できません。
そこで、東大受験生の皆様が少しでも和作文の訓練ができるよう、他大学の過去問をピックアップしてご紹介したいと思います。

次の文章を英訳しなさい。

言うまでもなく、転ばぬ先の杖は大切である。しかし、たまに結果をあれこれ心配する前に一歩踏み出す勇気が必要だ。痛い目を見るかもしれないが、失敗を重ねることで人としての円熟味が増すこともあるだろう。あきらめずに何度も立ち上がった体験が、とんでもない困難に直面した時に、それを乗り越える大きな武器となるにちがいない。

京都大学2021(敬天塾コメント)

(敬天塾コメント)

いや〜、実に素晴らしい文章です。「転ばぬ先の杖」や「円熟味」といった表現は、まさに和作文しなければ英訳できないですね。
京大はリスニングや物語文や正誤問題といった問題がない分、一題一題がとてつもなく歯ごたえのある問題で構成されており、その分、学びも多いと言えます。
ちなみに、東京大学が自由英作文の出題数を減らして20年ぶりに和文英訳を復活させた2018年に、京都大学はその反対に和文英訳の代わりに自由英作文をいきなり2題構成で出題しました(翌2019年には早々に和文英訳を復活させましたが)。
両大学は入試問題づくりにおいても実に興味ふかい共通点や相違点がありますので、時間が許す限り5年分くらいは各教科で目を通しても良いと思います。
なお、東大2022〜2023実況中継のなかでも、良質な類題をご紹介しておりますので、併せてご参照ください。

下線部の意味を英語で表しなさい。

   私が「学ぶことって楽しいな」と思えるようになったのは、大学を卒業して社会に出てからです。一度学びの楽しさを味わってからは、やみつきになりました。学べば学ぶほど、いままでわからなかったことがわかるようになり、それによって自分の視野が広がります。知らないことや新しいことに出合うと好奇心が刺激され、もっと多くのことを学びたくなります。

大阪大学2021

(敬天塾コメント)

今度は、2021の大阪大学からです。いや〜、こちらも名文です。
本問はそれほど和作文が必要ない問題かもしれませんが、文章の内容が素晴らしいのでご紹介することとしました。
特に、設問文に注意して欲しいのですが、「英訳せよ」ではなく「下線部の意味を英語で表しなさい」と指示されています。
大阪大学は入試講評で、機械的に直訳したって、それは英語に訳したことにはならないよと述べられたことがありましたが、まさに和作文の話そのものですね。

やはり、旧帝大系の問題は歯応えがあって面白い問題ばかりです。
今後とも、敬天塾では東大対策に役立つ良問をご紹介して参りますので、ホームページのブックマークをよろしくお願いいたします!

【さらに深く学びたい方のために】

敬天塾では、さらに深く学びたい方、本格的に東大対策をしたい方のために、映像授業や、補足資料などをご購入いただけます。
ご興味頂いたかたは、以下のリンクからどうぞご利用下さい。

映像授業【東大英語 第2問B 和文英訳】

東大英語 第2問B(和文英訳)制覇の極意(2023年実況中継)

2022年東大英語(第2問B 和文英訳)入試問題の解答(答案例)・解説

2021年東大英語(第2問B 和文英訳)入試問題の研究

 

 

 

 

 

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)