2021年 東大数学 文系第3問 理系第1問 解説(通過領域、逆像法、順像法など)

通過領域は毎年でる

今年も出ました、通過領域。
ここ最近の東大文系数学のブームです。

さて、問題です。東大文系では、どのくらい連続で出題されているでしょうか。
答えは2014年から毎年です。(2016年は除く)

こちらの画像をご覧ください。
最近の通過領域の問題1104

途中、ベクトルの領域図示の問題も混ざりましたが、様々な通過領域の問題が出ていることがわかるでしょう。

つまり、通過領域は2022年受験においても、攻略すべき最重要拠点だと言えます。

(上記の過去問の解説記事のリンクを張っておきます。)
2020年第3問
2019年第4問
2018年第4問
2018年第1問
2017年第2問
2015年第2問
2014年第3問その1
2014年第3問その2
2014年第3問その3
2014年第3問その4

この問題の手書きの解答の画像一覧を張っておきます。
ダウンロードや、ご自身の学習、先生方の授業での使用などは自由になさってください。(授業で使用する際は、敬天塾のものであると告知するようにしてください。)
無断での販売はご遠慮ください。

2021(3)文数 解説

まずは、基本の3解法をマスターしよう!

通過領域マスターへの道は険しいです。
まず、数学ⅡBまでの内容を一通り把握することが前提。
次に、最大最小問題などのグラフを描く問題や、実数解条件(逆像法)が使いこなせるレベルでマスターする。
そして、基本の3解法を使い分けられるようになることです。

基本の3解法とは、①逆像法、②順像法、③包絡線の利用です。

この3解法、使いこなすのが難しいのは言わずもがな、意外とハードルが高いのが用語です。

例えば、包絡線は教科書には登場しない用語で、普通に高校に行って卒業しても習わないでしょう。
逆像法とは、いわゆる実数解条件とか、解の配置問題、逆手流と同じなのですが、別名がたくさんあるので、同一の解法だと理解するのさえハードルが高いです。
順像法も同様で、ファクシミリ論法、すだれ法などと呼ばれていることがあります。
また、予選決勝法(1文字固定)の考え方も使いますし、混乱の元になりそうです。

このように複雑なので、解法の名前を一致させるだけでも、一苦労。
そして、先生でさえも結構混乱していることが多く、そもそも通過領域の解法について体系的にまとまっている参考書や資料に出会うことが難しいというのも、受験生を苦しめている元凶のように思います。
だって、練習問題も入手しづらいし、入手したとしても、簡単順に並んでないわけですから。

とハードルだらけなので、なかなか大変なのです。

この記事では、包絡線以外の解法について、かなり詳しくまとめていますが、そもそも通過領域の3解法とはどういうものか、については解説していません。上でも紹介した2014年第3問の解説の際に、まあまあまとめたので、良かったらご覧ください。
2014年第3問その1
2014年第3問その2
2014年第3問その3
2014年第3問その4

※なお、私自身がこの記事を書いたときよりも、考察がかなり深まっているため、やや甘い部分やわかりづらい部分などあるかもしれませんが、どうぞご了承ください。

2021年 東大数学 文系第3問

では、この問題について書いていきましょう。

まずは(1)ですが、これは簡単な問題。2つの放物線が指定の範囲で共有点を持つ条件です。
素直に連立して、実数解の条件(解の配置)に持ち込めばOK。
軽く流して、次へ行きましょう。

下の画像の左上の部分が(1)の解説です。

通過領域が登場!でも、普通じゃないぞ!

では、(2)へ。これが難問。通過領域の登場です。
何が難しいかというと、パラメータが2つ登場していることです。

通常は、通過領域の問題ではxとyに加えて、もう一つの文字(パラメータという。例えばtなど)が混在した式が登場します。
つまり、「xとyとtの式」をいじるのが、通過領域の問題です。

これに対し、
①逆像法では「tが解として存在する条件をもとめることで、xとyの領域を求める」
②順像法では「y=(tとxの式)に持ち込み、右辺のxを固定して、tを動かしながらyの値域を求める」
③包絡線では「動いている曲線(直線かも)が、常に接しているような曲線があるかどうか探す。あったとしたら接点を求めて、接点を動かすことで、図形的に通過領域を求める。」
といったところでしょうか。
これが、大雑把にまとめた3解法です。

ちなみに、今回の問題は、放物線Cに登場するパラメータが1次ですね。(aとb)
包絡線はパラメータが2次の時にしか、基本的には使いません。そのため、今回は包絡線は使いません。

パラメータが2文字の場合、どうするか?

では、今回の問題のようにパラメータが2文字に拡張したらどうするか。
別に、パラメータが2つになったからと言って解法が変わるわけではないので、原則として上の3つを検討すればよいです。

ただ、使い方が難しい。
なぜなら、理由の1つとして、パラメータを2つ使うとすると、解法が3つに分岐してしまうからです。

xとy、aとb、sとtなど2文字が登場したら、必ず考えるようにクセを付けてください。
①両方動かす
②片方を固定する
③もう片方を固定する
の3択が発生します。

先ほど、①逆像法と②順像法のどちらを使うかの選択があると言いましたが、
パラメータをどう扱うかで3択が発生するのです。

よって、6パターンの解法が生まれることになります。

※今回は、左上の解法をさらに2つに分けて、7つに分類しました。

この6つのパターンから最適なものを選んでいくことになります。

解法1~2:両方動かして逆像法

例えば、逆像法を使うとしましょう。
普通、逆像法(つまり解の配置問題)に持ち込んだ場合、多くが2次方程式の単元の一番最後に登場する問題に帰着します。
例えば、t>0という範囲が与えられていた場合なら、t>0に解を持つ条件を求めますから、判別式>0と、軸>0と・・・などと考えていくでしょう。

しかし、今回のようにパラメータが二つ登場したどうすればよいのか。つまり、パラメータが2つの場合の、解の配置問題とは、どういうものなのか?
結論を言うと、いわゆる線形計画法がそれにあたります。

線形計画法は軌跡と領域の最後の方に習いますが、おそらくほとんどの生徒が、
「領域を書いて、直線やら円やらが、領域とぶつかるように動かせばよい。」
など、解法を覚えていることと思います。
しかし、その根本的な意味はというと、おそらく何も考えてない笑。おそらく先生もあまり深く考えてないと思います。
私も最近気づきました。

そこを、よく考えてみると、いわゆる線形計画法の問題は、2文字の解の配置の問題なんですね。よって、これを使うことになります。
では、これを使った解法をご覧くださいませ。

解法1では傾きで場合分け、解法2では切片で場合分けをしています。

 

解法3~4:片方のパラメータを固定して、逆像法

さて、お次は、パラメータを片方固定して逆像法を使うパターンです。

この問題はパラメータがaとbの2文字登場します。
「パラメータが多いなら、1つ減らしちゃえば良いじゃない。」
その通り。至極自然で合理的な発想です。

しかしながら、この解法は、おそらく多くの方が行き詰まると思います。
なぜなら、1文字固定は等式の場合に使うことは慣れているが、不等式に使うことに慣れていないからです。

今回の問題は、放物線C(xとyとaとbの式)が解を持つ条件を考えるのですが、
aとbが満たす条件はこの3不等式です。

放物線Cの式に関しては、aを固定でも、bを固定でも大したことはありません。
例えば、aを固定したとしたら、「xとyとaとbの式」が「xとyとbの式」に変わるだけです。aを数字と同じように扱えばすみません。

一方、不等式はどうでしょう。
もちろん、不等式が1つだけだったら簡単ですが、今回は3不等式があります。
aを固定した場合、どのように扱えばよいのか、わかりますか?

おそらく、この技法はほとんどの方が習ってないので、できないということで当然です。

ということで、受験生にとっては、この時点で破綻した解法といってよいとおもいます。

一応、気になる方のために、ガイドラインだけでも作っておきました。

こちらをどうぞ。

 

ちょっとだけコメントをしておくと、
3本の連立不等式で表現された領域が、aを固定、bを固定すると、それぞれ別の表現方法でも表現できます。
(この時、実は順像法の考え方を利用しています)。
つまり、3本の連立方程式で表現しても、画像に載っているような、a固定やb固定で作った式で表現しても、表している領域は同じなのです。
よって、(1)で求めた3本の不等式を利用せずに、解の配置を解くことになるのです。

解法5:aとbを動かして、順像法

では、次に順像法を利用する解法にいきます。
まず、aとbを両方動かす場合ですが、これは基本的に難しいです。

順像法では、y=(xとaとbの式)と変形し、xを固定した上で、yの値域をパラメータを動かすことによって求めていきます。
この問題では、
y=xa+b+(定数項)という形になるのですが、ここで問題が発生します。
aとbをいくつにすると、最大(最小)になるのか不明。ということです。

bに注目すれば、bが大きければyも大きくなり、bが小さくなればyも小さくなるという関係性があります。
しかし、bを大きくすることによって、xaが小さくなってしまってはダメです。

実際に、aとbには従属関係といって、勝手にばらばらに動けない関係性があります。
証拠は(1)のこの図です。

①や②のようにaとbの関係式があると、「勝手にbだけ大きくする」ということができません。

y=(aとbの式)のような形を「2変数関数」というのですが、実は2変数関数の値域を求める問題は、大学受験に登場します。
しかも、ちゃんと数ⅡBまでの範囲で登場しているので、おそらくこれをお読みの皆さんも解いたことがあるはずです。

例えば、このような関数。

特に、一番したのパターンをご覧ください。
aとbの2次しきが登場し、それぞれを平方完成すると値が求められるという問題を解いたことがあると思います。
(通常、数Ⅰの2次関数の章末問題あたりで扱うのではないでしょうか。)

ただ、これ、よく考えると、aやbの片方を固定しているといえば、固定しているんですよね。
今回は、aとbを両方動かす場合の解法を考察しているんですが、結局は固定して考えてしまうことになります。

上の2つはそれぞれ、円の半径や傾きなどの図形的な特徴を表す式に帰着するから解けるというパターンです。
つまり、数式としてではなく、図形として解いています。

今回の問題で登場する、y=xa+b+(定数項)は、残念ながら何の図形もあらわさないと思うので、断念する解法でした。

解法6~7:aとbの片方を固定して、順像法

さて、最後に残った、解法6~7です。
これも、aかbを固定することになるので、解法3~4と同様に、不等式の領域に対して、aやbを固定しなければいけないので、この時点でおススメできない解法です。

ということで、とてもあっさりですが、一応途中まで解いたので、画像で確認してください。

まとめ

いやはや、学びの多い問題です。
パラメータの数による解法の分岐や、逆像法/順像法の解法の違いなども学べます。
本当は、順像法や逆像法の数学的な意味も説明した方が良いのでしょうが、キリがなくなってしまうので、これくらいにしましょう。

さて、この問題の解説を書くにあたり、インターネットを中心に様々な先生の解法や解説を参考にさせていただきました。
多くは解法1や解法2を説明したもので、解法の分岐などには触れていないものだったのですが、一つだけレベルの違う解説をされている先生がいらっしゃったので、大いに参考にさせていただきました。ありがとうございました。
(私の解説記事は、この動画をさらに丁寧に深ぼったという感じです。)
【伝説級の良問!?】2021年東大数学vs東大医学部(理系第1問、文系第3問)

2021年第1問(解説はここをクリック)と並べて、勉強すればかなりの数学力の向上になると思います。
また、2022年受験生は、他の入試問題と同じように扱ってはいけません。直前の過去問ほど重要です。
ぜひとも、思っている3倍くらいの重要度だと思って、しっかり復習してほしいと思います。

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